自動車業界に激震が走った。日野自動車のエンジンの開発設計で不正が発覚。国土交通省から型式指定の取り消し処分を受けた。これにより、同社は不正対象のエンジンを搭載した車両の生産・販売の停止を余儀なくされている。日野自動車の開発設計に何が起きたのか。その深層を探る。(近岡 裕)

特集
日野自動車エンジン不正の深層
目次
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主力のエンジンが出荷停止に、日野に一体、何が起きたのか
Part1 10の疑問
日野自動車でディーゼルエンジン(以下、エンジン)の排出ガスと燃費不正が発覚した。同社は2022年3月4日に緊急会見を開催し、小木曽聡社長と下義生会長(当時)が謝罪。同社に何が起きたのか。10の疑問を追究した。
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顧客軽視の姿勢にトヨタも怒る、いすゞ自動車との差に焦ったか
Part2 不正の誘因
「話にならない。トヨタ自動車と切り離せと言いたいぐらいだ」─。日野自動車で発覚したディーゼルエンジン(以下、エンジン)の排出ガスおよび燃費不正。トヨタ自動車の関係者(以下、関係者)からは辛辣な言葉が飛ぶ。
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不正を許す開発設計に甘さ、欺けない仕組みが再発を防ぐ
Part3 開発プロセスの穴
「トヨタ自動車と比べて10年は遅れているという印象だ」─。排出ガス・燃費不正が発覚した日野自動車のエンジン開発について、トヨタ自動車の関係者(以下、関係者)はこう評価する。日野自動車は特別調査委員会を立ち上げて真因(問題を引き起こした本当の原因)の解明に乗り出した。
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再発を防ぐ仕掛けの導入が必須、設計変更を許容するトヨタの方法
Part4 ハードとソフトの協調
不正に「もしも」はない。だが、もしも開発設計の失敗に気づいた時点で設計方針を思い切って変えていたら、日野自動車はエンジンの排出ガス・燃費不正とは無縁でいられたのではないか。