「話にならない。トヨタ自動車と切り離せと言いたいぐらいだ」─。日野自動車で発覚したディーゼルエンジン(以下、エンジン)の排出ガスおよび燃費不正(図1、2)。トヨタ自動車の関係者(以下、関係者)からは辛辣な言葉が飛ぶ。あるトヨタ自動車出身者は、ドイツVolkswagen(フォルクスワーゲン)の排出ガス不正や、三菱自動車とスズキによる燃費不正を引き合いに出し、「悪質さは変わらない。むしろ、それらから何も学んでいないことに日野自動車の病状の深刻さが表れている」と一刀両断だ。
日野自動車の不正について、トヨタ自動車はこうコメントする。「トヨタグループにとって法令順守(コンプライアンス)は経営の根幹。今回、日野自動車が信頼を損なう行為をしたことは遺憾だ。ただ、日野自動車は子会社ではあるが上場企業で独立して運営しているため、まずは同社が責任をもって速やかに原因を解明して再発防止に向けて万全に取り組むべきだ。トヨタ自動車は親会社としてその取り組みをできる限り支援する」。
親会社としての責任を感じつつも、日野自動車の経営の独立性を尊重して冷静さを保っているようにも感じるが、このコメントを額面通りに受け取る関係者は少ないようだ。「我が子に裏切られたようなもの。トヨタ自動車の上層部は怒り心頭に発しているだろう。日野自動車にトヨタ自動車から人を送り込み、そこまでやるかというほど厳しい措置を講じるはずだ」(関係者)という見方が大勢だ。