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 3度目とも言われるバイオプラスチックブーム(別掲記事参照)。中でも、環境問題の対策として最も望ましい素材が、バイオマス由来の生分解性プラスチックだ(図1)。具体的には、ポリ乳酸(PLA)や、ポリ-3-ヒドロキシブチレート-3-ヒドロキシヘキサノエート(PHBH)が当てはまる。これらは、バイオマス由来のため、分解した際に大気中の二酸化炭素(CO2)を実質的に増やさない(カーボンニュートラル)。その上、微生物の力で水とCO2に分解されて自然に戻るため、マイクロプラスチックごみなどによる土壌・海洋汚染抑止の一助にもなる。

図1 バイオプラスチックの分類
図1 バイオプラスチックの分類
(出所:欧州バイオプラスチック協会の資料を基に日経ものづくりが作成)
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 カーボンニュートラルや環境負荷低減の観点から注目度が高まっているPLAやPHBHは、国内メーカーでも実用化・量産化に向けた動きが加速している。分解性能などで優れた性能を持っており、世界市場での活躍が期待できそうだ。

工場の土で発見、海洋分解プラ造る微生物

 カネカが開発したのが、100%植物由来のPHBH「カネカ生分解性ポリマーGreen Planet」だ。植物油(パーム油)を摂取した微生物が代謝の過程で生成するPHBHを抽出して造る。2019年12月から年間5千t規模の実証プラントで生産を開始し、これまで使い捨てカトラリーなどの製品に応用してきた(図2)。2024年には年間2万t、2030年には同10万~20万tへの増産を計画する。

図2 カネカ生分解性ポリマーGreen Planetで造った製品群
図2 カネカ生分解性ポリマーGreen Planetで造った製品群
(出所:カネカ)
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