電動アクスル事業の世界一に欠かせない半導体の“内製化”へとかじを切った日本電産。同社永守重信会長兼最高経営責任者(CEO)が半導体ソリューションセンターを立ち上げ、同センターの所長に任命したのが、常務執行役員の大村隆司氏だ(図1、2)。半導体トップの同氏に、日本電産の半導体戦略を聞いた。
半導体ソリューションセンターを設立し、所長に就任した。
私が同センターに関する提案書を出したのは2022年3月後半だった。そこからわずか1カ月半で新しい組織が立ち上がった。永守会長を含め、良いことはすぐに実行に移す文化が日本電産にはある。他社では1年かけても設立までもっていけなかったのではないか。この点は、さすが日本電産だと思った。
半導体ソリューションセンターの役割の1つは、どの半導体メーカーが技術的に優れているかといった情報をいち早く把握することだ。既にパワー半導体などに関してRFI(情報提供依頼書)を出している。
そして、当社が欲しい半導体を明確に提示する。ここが、日本の自動車メーカーや1次部品メーカー(ティア1)ができていないところだ。欧州勢は自分たちが造ってほしい半導体の仕様をRFQ(見積もり依頼書)という形でしっかり出せる。
日本勢には半導体のRFQを作成できるところがほとんどないため、カタログから選んで買っている。欧州や中国の要求を聞いて開発した半導体を後から選んでいる状況だ。このままではずっと遅れたまま。当社はそうならないように、RFQを自前で作成して半導体メーカーに提示していく。これが競争力になる。