車両や関連設備に取り付けたセンサーから収集したデータの活用が進んでいる。走行中の車両のデータを基に運行の効率化を図ったり、遠隔地から車両状況を監視したりするシステムは、既に運用が始まっている。
速度や乗車率などを基に運転を最適化
東武鉄道が、走行中の車両の監視に活用しているのがIoT(Internet of Things)システム「Remote」だ。運転速度や乗車率などの車上データを取得。最適な運転による消費電力の削減や、需要に応じた減車の決断などの成果に役立てている。
Remoteでは、車両の運行に不可欠な機器類や、車内などに取り付けた複数種のセンサーからデータをリアルタイムで収集する。例えば車体を支える台車には、空気ばねにかかる圧力を計測するセンサーを装着。空気ばねの圧力は乗客が多いと高くなり、少ないと低くなる。この圧力のデータを基にして乗車率を把握している。他にも列車の速度、架線の電圧、加速の仕方を調整するノッチの値、車内の温度、運行に必要な機器類の動作状態などのデータを取得している(図1)。
車内にはドア上部のサイネージへの広告配信などに使われる無線LANがあり、センサーから取得したデータはこの無線LANを通り、車端部の制御装置に集められる。ここからKDDIの通信回線を経由し、クラウド上にある三菱電機のIoTプラットフォーム「INFOPRISM」に集約。本社や車両基地、指令所などから各車両のデータを常時確認できる(図2)。