世界中で加速するガソリン車から電気自動車(EV)への転換「EVシフト」。自動車部品メーカーにとっては、エンジン部品の減産が懸念される一方、EV関連の新たな受注や事業創出・成長の好機でもある。この大きな変革の波を逃すまいとEV用部品をターゲットとした新たな加工技術や製品の開発に力を入れているのが工作機械業界だ。既にEV用部品の増産に向けた設備投資が追い風となって受注額が伸長している。EVシフトが工作機械業界にもたらそうとしている変革の最前線を探る。

工作機械、EVシフトへの備え
目次
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脱・内燃機関で進化する工作機械、設備更新の波に乗り遅れるな
Part1 総論
欧州連合(EU)は2022年10月、2035年に欧州域内で販売される全ての乗用車・小型商用車の新車をZEV(ゼロ・エミッション・ヴィークル)、すなわち電気自動車(EV)と燃料電池車(FCV)にする方針を打ち出した。これは事実上、同年から欧州域内ではガソリン車などの内燃機関車の新車販売が禁止されるこ…
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「イージー」鍵に原点回帰、現場目線でDXを推進
Part2 トップインタビュー ヤマザキマザック
電気自動車(EV)を初めとした自動車の電動化を無視して、今後の工作機械は考えられない。人材不足に対応するためにも、製造現場での作業を簡単に、手軽にしなくてはいけない─。ヤマザキマザック上席執行役員の堀部和也氏はこう語る。重要なのは「現場目線」だ。シンプルで使いやすい工作機械とソフトウエアを開発した…
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要求聞いてなんぼの商売、5軸の精度安定と自動化進展
Part2 トップインタビュー 牧野フライス製作所
回転する工具の向きを2軸で制御すると同時に、縦横高さの3軸で移動させて切削加工する5軸加工機。工具の向きが変わらない3軸加工機に比べて複雑な形状を加工できるなど、先進的な加工方法とみなされる。加工精度が安定してくるとともに、自動化へのニーズと結びついてきたという。5軸マシニングセンターの現状や取り…
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海外勢に付け入る隙を与えず、成熟製品でも改善と改革を
Part2 トップインタビュー オークマ
新型コロナ禍で加速したデジタルトランスフォーメーション(DX)の取り組みや、製造業が慢性的に抱えている人材不足への対応、カーボンニュートラルへの貢献など、顧客のさまざまな要望が顕在化した今、工作機械メーカーの技術力が問われている。アジアの新興メーカーをはじめ、海外勢が徐々に技術力を上げる中、家城氏…
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コロナで見えた次の戦略、30年売上高1兆円への道筋
Part2 トップインタビュー DMG森精機
2030年に売上高1兆円─。新型コロナ禍の需要低迷からV字回復を果たしたDMG森精機の森氏が描く次なる目標がこれだ。世界各地でシェアを広げるなかで「市場の立ち位置がようやく分かった」と自信をのぞかせる同氏。廉価販売との決別など、大胆不敵な戦略で新境地への道を切り開く。
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EV用部品に必要な加工技術とは、4年ぶりリアル開催に花開く
Part3 JIMTOF2022リポート
世界最大級の工作機械の展示会「第31回 日本国際工作機械見本市(JIMTOF2022)」(2022年11月8~13日、東京ビッグサイト)。60周年を迎えた今回は、出展社数・展示小間数共に過去最大規模となり、電気自動車(EV)部品の加工をターゲットとした新製品も数多く見られた。会場に集結したものづく…
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国内自動車産業のEVシフト鮮明に、市場拡大見越し新事業開拓へ
Part4 数字で見る現場 (調査テーマ:クルマの電動化の進展に伴う事業への影響)
自動車の電動化の進展に対応して事業を変化させる動きが着実に進行している。内燃機関車向けの事業が縮小するとみられる一方で、新規事業開発への取り組みや、工場、検査設備、工作機械の導入といった投資が進むようだ。なお、本調査における「電動車」には、「バッテリー式電気自動車(BEV、狭義のEV)」「ハイブリ…