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 原子力発電所の建て替えや新増設の有力候補とされるのが「革新軽水炉」だ(図1)。大型軽水炉を改良して安全性を高めている。運転開始の目標時期は2030年代中ごろ。既存技術の延長線上にあるため成熟度が高く、発電単価も安価になると期待されている。

図1 革新軽水炉の例
図1 革新軽水炉の例
東芝エネルギーシステムズの「iBR」。(出所:東芝エネルギーシステムズ)
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 軽水炉には、大きく分けて「沸騰水型軽水炉(BWR)」と「加圧水型軽水炉(PWR)」がある。国内では、東芝エネルギーシステムズ(東芝ESS、川崎市)がBWR、三菱重工業はPWRといった具合に、各社が別の方式で革新軽水炉を開発している*1。採用する具体的な技術には違いがあるが、それぞれの原子炉が目指す安全対策の方向性には、共通点がある。

*1 国内では日立GEニュークリア・エナジー(茨城県日立市)も改良型沸騰水型軽水炉(ABWR)をベースにした革新軽水炉の検討を進めるが、具体的な製品名などは未発表。