工場や倉庫内での自動搬送システムが進化している。運転手がいなくても自動で走行できるAGV(自動搬送車)やAMR(自律走行搬送ロボット)が建屋内や構内を走り回り、部品や製品を運ぶ。レベル4の自動運転の電気自動車(EV)を導入したり、既存車に後付けユニットを取り付けて自動運転化して搬送に活用する工場も現れた。工場・倉庫内搬送はどこまで進化するのか。どのようなメリットがあり、課題は何か。自動搬送システムの現在を追う。

搬送革新
目次
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人手不足と多品種少量生産の助っ人、効果の享受には現場の見直しが必須
Part1 なぜ今自動搬送か
自動搬送システムを導入する工場や倉庫が増えている。運転手がいなくても所定の場所まで走行し、積載物を搬送できるAGV(自動搬送車)やAMR(自律走行搬送ロボット)などを活用して、搬送の合理化を図る。
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自動フォークリフトにMESが指示、深夜・休日稼働で人手不足に対応
Part2 導入例 ヤマザキマザック(美濃加茂製作所第二工場)
人手不足の解消や生産性向上のために、AGV(自動搬送車)やAMR(自律走行搬送ロボット)による無人搬送システムを導入する工場や倉庫は珍しくない。しかしその多くは、運ぶものを水平移動するにとどまる。
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効率優先で限られた作業と範囲に適用、利点とコストのバランスでAGV採用
Part2 導入例 サントリープロダクツ(サントリー天然水 北アルプス信濃の森工場)
こうしたDXの一環として同工場に導入したAGVは5台。ボトル飲料はろ過や充填、ラベル貼りなど、工業製品などに比べて工程が少なく、ボトルの移動経路もシンプル。ゴミや品質サンプルの搬送経路も限られているため、自律的に目的の場所まで走行するAMRではなく、あえて規定経路を走行するAGVを採用した。
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レベル4の自動運転EVを活用、他の車両が行き交う構内を搬送
Part2 導入例 ヤマハ発動機(浜北工場など)
ヤマハ発動機は浜北工場など同社の3工場で、自動搬送システムに電気自動車(EV)を採用している。それも一定範囲の敷地内で周辺環境を認識し、ドライバーの運転が不要な「レベル4」で自動運転できるEVだ。
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大型車のドライバー不足に対応、後付けで既存車両を自動運転に
Part3 新技術 JFEスチール(自動運転トラクター)
自動運転のトラクタートラック(以下トラクター)による無人搬送の実現に取り組んでいるのがJFEスチールだ。スラブやビレットといった重量・長尺品を搬送する実証実験を、2023年2月から東日本製鉄所京浜地区扇島エリア(川崎市)の敷地内で実施している。
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空港用カートを改良し無人化、遠隔操作の併用で「なる早」導入
Part3 新技術 三菱ふそうトラック・バス(自動運転EV)
三菱ふそうトラック・バス(以下、三菱ふそう)は、既存の小型電動トラクターに車載コンピューターなどを後付けして、自動搬送できるシステムの導入に取り組んでいる。
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パレタイザーと組み合わせ、最適化機能で作業効率を向上
Part3 新技術 三菱重工業(荷役作業の連携システム)
三菱重工業(以下、三菱重工)と同社子会社の三菱ロジスネクストは2022年9月から、自動フォークリフト(AGF)とAGV(自動搬送車)、パレットに積載物を積み付けるパレタイザーなどを連携させる自動ピッキングソリューション(以下、新ソリューション)を提供している。