「水害でハードディスクが泥水に漬かったためにデータを読み出せなくなった」といった話はよく耳にする。実際のところ、記憶媒体を液体に浸すとデータを読み出せなくなるのだろうか。もしそうなら、記憶媒体を廃棄する前に液体に浸すようにすれば情報漏洩対策になる。実験してみた。
水・油・泥水に浸してみた
今回の実験では、筆者が使わなくなった古いUSBメモリーとハードディスクを複数用意。それぞれに写真などの画像ファイルや、WordおよびExcelなどで作成したオフィス文書を保存した。
記憶媒体を浸す液体には、水道水、食用油、泥水の3種類を用意した。
まずはUSBメモリーについて調べた。液体を満たしたコップにUSBメモリーを入れて1時間ほど放置した(図3-1)。
液体から取り出した後は、ティッシュペーパーで液体をふき取り、しばらく乾かした。そしてパソコンに接続し、データを読み取れるかを調べた。
その結果、どの液体の場合でもデータを問題なく読み出せた。USBメモリーには機械的な部品がないため、液体に浸しても故障しにくいのではないかと推測した。
続いてハードディスクで同様の実験をした。液体を入れたポリ袋にハードディスクを1時間浸した(図3-2)。USBメモリーの場合と同様に、液体から取り出した後は丁寧に拭いてから乾かした(図3-3)。
結果はUSBメモリーの場合と同じように、どの液体に浸したハードディスクからもデータを正常に読み出せた。
ハードディスクには、ディスク(プラッター)やモーターといった機械的な部品がある。このため液体に浸すことでディスクが回転しなくなると考えたが、そういったことはなかった。モーターも問題なく動いた。きょう体の機密性が高いために故障につながらなかった可能性がある。