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 正しい利用者が適切なリソースへアクセスできるようにするには、アクセス制御が必要だ。

OUごとにアクセス権を管理

 まずはADのアクセス制御の流れを確認しよう。ADはリソースへのアクセス権をセキュリティーグループ単位で設定する。

 セキュリティーグループ「人事」に所属するユーザーアカウントは、リソースにアクセスする前にドメインコントローラーへアクセスし、チケットを要求する(図5-1(1))。ドメインコントローラーはユーザーアカウントを認証すると、リソースにアクセス可能なチケットを払い出す(同(2))。利用者はこのチケットを提示して、セキュリティーグループ「人事」がアクセスを許可されたリソースへアクセスできる(同(3))。

図5-1●Active Directoryのアクセス制御の流れ
図5-1●Active Directoryのアクセス制御の流れ
Active Directoryではドメイン内のリソースへのアクセス権を、セキュリティーグループで制御する。所属するセキュリティーグループに応じたチケットをドメインコントローラーに発行してもらい、サーバーに提示することでアクセスする。
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 次にクラウドサービスへのアクセスを制御する仕組みを見てみよう。その一例としてIDaaSとIAPを組み合わせる方法がある。

 次のようにアクセスを制御する。利用者がリソースにアクセスする際、最初にIAPへアクセスする(図5-2(1))。IAPはIDaaSに利用者の認証状態とロール(役割)を問い合わせる(同(2))。IAPは認証状態とロールを受け取り(同(3))、利用者に適切なリソースへのアクセスを認可する。

図5-2●ロール単位でアクセス制御
図5-2●ロール単位でアクセス制御
IDaaSはIAPと組み合わせることで、IDごとに適切なリソースへアクセスを制御できる。利用者がIAPへアクセスした際、IAPがIDaaSへ認証状態を確認すると同時にロールを問い合わせる。そしてIAPが適切なリソースへのアクセスを許可する。
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動的な情報を基にアクセス制御

 ロールに基づく制御は静的な情報に基づく。これに対しアクセス元の端末の状態に応じてリソースへのアクセスの可否を決める制御方式もある。「動的アクセス制御」だ。

 動的アクセス制御の一例を説明する。端末の状態を取得するためにIDaaSをEDRやMDMと連携させておく。例えば利用者の端末にはEDRのエージェントをインストールし、端末のセキュリティー状態をEDRで把握できる状態にしておく。

 アクセスの際は次のような流れとなる。まずEDRエージェントが各端末のセキュリティー状況をEDRサーバーへ通知する(図5-3(1)と(2))。EDRサーバーは端末のセキュリティー状態を分析してIDaaSへ伝達する(同(3))。MDMも各端末がきちんとMDMに管理されているかをIDaaSへ伝達する(同(4))。IDaaSはEDRとMDMから伝達された情報を鑑み、安全な端末だけリソースへのアクセスを許可する。

図5-3●動的な情報を基にアクセスを制御する
図5-3●動的な情報を基にアクセスを制御する
動的アクセス制御は、EDRやMDMなどと連携してアクセス元の端末の状態を確認し、状態に応じてアクセスを許可するか否か判断する。
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