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 ライブ中継の映像伝送サービスには、送り直しができないことや、試合・イベントの都度に設営が必要なことなどから、一般の通信サービスに比べ条件が厳しい。それをどのように満たしているのか、技術的な側面を解説する。

IPレベルでマルチキャストを実現

 映像ネットのネットワーク構成を図2-1に示す。映像などを伝送するIP/MPLSネットワークと、ネットワークの管理・監視を実施する「NGATE」というオペレーションシステムで構成される。

図2-1●ライブ中継を実現する映像ネットのネットワーク構成
図2-1●ライブ中継を実現する映像ネットのネットワーク構成
映像伝送には、マルチキャスト対応のIP/MPLS VPNを採用している。スタジアムとデータセンター、またはスタジアム間で、ビデオストリームやファイルを送るためのパスを確立する。中継時間に合わせた回線帯域の予約は、オペレーションシステム(NGATE)のSDNコントローラーにより一括して行う。
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 コンテンツ配信事業者からライブ中継の予約を受け付けると、オペレーターはAPIを介して、NGATEに予約を登録する。NGATEにはSDNコントローラーが含まれており、中継時間に合わせて回線帯域を確保する。

 映像ネットはネットワークの機能として、多数の拠点への同時配信(マルチキャスト)が可能だ。このマルチキャストの方式に特徴がある。従来の手法では、映像信号レベルで分岐させることでマルチキャストを実現していた。これに対し、映像ネットはマルチキャスト対応のIP/MPLS VPN方式を採用し、IPレベルでマルチキャストを提供している。これにより、IPと映像の変換回数を減らして映像品質の劣化を抑え、機器の数を少なくしてコストの低減や故障ポイントの削減をしている。