Part2では、Pktmonで取得したパケットをパケットキャプチャーソフトのWiresharkで分析する。
Wiresharkを導入済みのパソコンがあるなら、「Wiresharkでパケットを取得すればよいのではないか」と思われるかもしれない。しかしトラブルが起きた現場でWiresharkを導入したパソコンがすぐに用意できるとは限らない。例えば、遠隔地にあるパソコンでトラブルが発生した場合にリモートでインストールするのは難しい。セキュリティーポリシーにより現場のパソコンにWiresharkをインストールできない場合もある。
そのような場合でも、Windows標準ツールであるPktmonを使えばパケットを取得できる。取得したログファイルをネットワーク管理者に転送して、専用のパソコンで分析するといった対応ができる(図2-1)。
変換後に読み込む
Part1で説明したように、PktmonのログファイルはETL形式で保存される。このままではWiresharkで読み込めないので、「pktmon etl2pcap」コマンドを用いてPCAPNG形式に変換する。PCAPNG形式はWiresharkの標準ファイル形式だ。このファイルをWiresharkで読み込むと、キャプチャーしたパケットが一覧表示される(図2-2)。
ファイルを読み込んだ直後のWiresharkの画面は大きく3つの領域に分かれている。上から「パケットリスト」「パケットディテール」「パケットバイト」という。
1番上にあるパケットリストには、取得したパケットが一覧表示される。各行が1つのパケットを表し、取得した順番に並ぶ。キャプチャーを開始してから経過した時間や送信元/宛先のIPアドレス、通信プロトコルの種類などが表示される。
パケットリストでパケットの行を選んでクリックすると、パケットディテールとパケットバイトにパケットの詳細な情報が表示される。
パケットディテールにはイーサネットやIP▼などプロトコルごとに対象パケットの情報がまとめられている。各行先頭にある「>」をクリックすると、各プロトコルに関する詳細な情報が表示される。送信元/宛先のアドレスのほかにTCPの制御パケットの情報(SYN▼やACK▼)なども表示する。
パケットバイトには、ヘッダー情報を含むバイナリーデータ▼が16進数とASCIIコードで表示される。パケットバイトの左側が16進数で表示したデータ。右側がASCIIコードで表示したデータである。