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 IPには、IPv4とIPv6の2種類がある。どちらのバージョンも、IPパケットは「IPヘッダー」と「データ部」という2つの部分で構成されている(図2-1)。IPヘッダーはIPパケットを目的の場所に届けるための宛先ラベルに相当する部分、データ部はアプリケーションのデータを含むTCPセグメントなどが格納される部分だ。

図2-1●IPパケットの構造
図2-1●IPパケットの構造
IPパケットは「IPヘッダー」と「データ部」で構成される。IPヘッダーにはIPアドレスなどの通信に必要な情報が含まれている。データ部にはアプリケーションのデータを含むTCPセグメントなどが格納される
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通信に必要な情報を格納

 IPヘッダーには、IPパケットの宛先や送信元を示すIPアドレスが含まれている。IPアドレスは、インターネットや企業ネットワーク内での機器の場所を表す情報だ。ネットワーク機器ごとに異なるIPアドレスが割り当てられる。宛先IPアドレスは、IPパケットを届ける相手の機器を示す。送信元IPアドレスは、IPパケットを送り出す機器を示す情報だ。宛先の機器が、受信したIPパケットに対して返信するときなどに使われる。

 IPヘッダーには、IPアドレス以外にも様々な情報が含まれている。例えば、「バージョン」はIPのバージョンを表す情報だ。IPv4であれば「4(2進数で『0100』)」、IPv6だと「6(2進数で『0110』)」という値が入る。「TTL(IPv6での名称は『ホップリミット』)」は、IPパケットの最大転送数を示す値だ。インターネットでは、ネットワークとネットワークを「ルーター」という装置で接続する。ルーターがIPパケットを転送することで、ネットワーク越しの通信が可能になる。ルーターがIPパケットを転送するたびにTTLの値が1ずつ減少し、0になるとそのIPパケットは破棄される。

IPv4は32ビットの数字列

 IPヘッダーの中でも重要な役割を担う、IPアドレスについて詳しく見ていこう。IPアドレスはIPv4とIPv6で表記が異なる。IPv4のIPアドレスは32ビットの数字列で表す。2進数では0と1が32個並ぶビット列だ(図2-2)。ただし、2進数だと人間には分かりにくい。そこで8桁ずつピリオドで区切り、10進数に変換して表記するのが一般的だ。この区切り部分をオクテットと呼ぶ。例えば、「110000 00101010000000000000000001」というIPアドレスを「11000000.1 0101000.00000000.00000001」と区切り、それぞれを10進数に変換して「192.168.0.1」と表記する。

図2-2●IPv4のIPアドレスは32ビット
図2-2●IPv4のIPアドレスは32ビット
端末が属しているネットワークを示す「ネットワーク部」と、ネットワーク内で端末を識別するのに使用する「ホスト部」で構成される。ネットワーク部の範囲はサブネットマスクで示す。サブネットマスクの表記方法として、ネットワーク部のビット数をIPアドレスの後ろに付ける「プレフィックス表記」もある。
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 IPv4アドレスは、ネットワークを識別するための「ネットワーク部」と、ネットワーク上の端末を識別するための「ホスト部」から成る。住所で例えると前者は都道府県市町村、ホスト部は番地に当たる。ネットワーク部の長さは固定ではないので、IPアドレスだけではどこまでがネットワーク部なのかが分からない。そこでサブネットマスクを使って、ネットワーク部の範囲を占めす。