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ネット君 ネットワークスペシャリスト試験(ネスペ試験)を受けようと思うんですけど。

インター博士 そうか。頑張れ。

ネット君 そんな…。合格に向けて手取り足取り教えてくださいよ。たった1人のゼミ生なんですから。

インター博士 やれやれ。それでは過去問をベースにして、基本から学んでいくか。

ネット君 ありがとうございます!

インター博士 今回はDHCPを取り上げよう(問題1)。

問題1 令和元年度秋期 ネットワークスペシャリスト試験 午後Ⅰ問3から抜粋および改変

 E社は、小売業を営む中堅企業である。E社のネットワーク構成を、図1に示す。

図1 E社のネットワーク構成(抜粋)
図1 E社のネットワーク構成(抜粋)
[画像のクリックで拡大表示]

 図1の概要、及びPCのセキュリティ対策について、次に示す。

  • PCを接続するLANは、各フロア二つ、計四つのセグメントに分かれている。
  • ルーティング情報は、全てスタティックに定義してある。
  • L3SW1、L3SW2で設定されているVLANは、全てポートVLANである。
  • ①PCのIPアドレスは、DHCPサーバによって割り当てられる。
  • PCはメンテナンスサーバを利用して、OSやアプリケーションプログラムのアップデート、ウイルス定義ファイルのアップデートなどを行う。
  • PCには、E社のセキュリティルールに従っているかどうかを検査するソフト(以下、Sエージェントという)がインストールされている。
  • Sエージェントは、検査結果をPC管理サーバに登録する。

 E社では、情報システム部(以下、情シス部という)が、定期的にPC管理サーバを参照して、検査結果が不合格であるPCの利用者に、対処を指示している。しかし、対処をしないままPCを使用し続ける利用者が、少なからず存在する。また、無断で個人所有のPCをLANに接続することが、度々起きていた。そこでE社は、セキュリティルールに反したPCに対し、LANの利用を制限することにした。

〔LAN通信制限方法の検討〕

 情シス部は、LAN通信制限の要件を次のとおり整理した。

  • 通信を許可するかしないかは、PC管理サーバ上の情報によって決定する。
  • PC管理サーバ上の情報に応じて、PCを次の三つに区分する。

 正常PC:Sエージェントの検査結果が合格のPC

 不正PC:Sエージェントの検査結果が不合格のPC

 未登録PC:PC管理サーバに登録がないPC(無断持ち込みのPCは、これに該当)

  • 正常PCは、通信を許可し、不正PCと未登録PC(以下、排除対象PCという)は、通信を許可しない。

 情シス部は、LAN通信制限の実現策として、次の2案を検討した。

 案1:DHCPサーバとL2SWによる通信制限

  • 正常PCだけにIPアドレスを付与するよう、DHCPサーバに機能追加する。
  • ②DHCPサーバからIPアドレスを取得したPCだけが通信可能となるように、各フロアのL2SWでDHCPスヌーピングを有効にする。

設問1

 本文中の下線①について、DHCPサーバとPCのセグメントが異なっている場合に必要となる、スイッチの機能名を答えよ。また、その機能が有効になっているスイッチを、図1中の機器名で、全て答えよ。ただし、その機能が有効になっているスイッチは、台数が最少となるように選択すること。

設問2

 〔LAN通信制限方法の検討〕について、(1)~(2)に答えよ。

  • (1)案1において、本文中の下線②を実施しない場合に生じる問題を、35字以内で述べよ。
  • (2)図1中のフロア1、フロア2のL2SWで、DHCPスヌーピングを有効にする際に、L3SWと接続するポートにだけ必要な設定を、25字以内で述べよ。
※問題では情報処理技術者試験のネットワークスペシャリスト試験の表記を、本文では日経NETWORKの表記を用いている。