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とある会社の情報システム部門。そこに、元気が取りえのSEがいる。入社3年目の通称「ネコSE」だ。ある日、この会社で無線LANを本格的に導入することが決まり、その主担当としてネコSEが指名された。無線LANの知識が心もとないネコSEに、豊富な知識を持つ「センパイ」が無線LANの基礎を懇切丁寧に解説する。

ネコSE:センパイ、センパイ!お疲れさまです!

センパイ:ん?どうした猫瀬君。

ネコSE:先ほど土良部長に呼び出され、うちの会社の無線LAN導入プロジェクトで僕がメイン担当に指名されてしまいました!

センパイ:なんだ、そのことか。実は私が猫瀬君を推薦したんだ。君ももう入社3年目だし、次のステップとして無線LANにも知識の幅を広げてほしいと思ってね。

ネコSE:そうだったんですね。ところで開発部の一部エリアだけで無線LANが使えるのですが、あれはセンパイが担当したんですか。

センパイ:ああ、開発部で以前、要望があってね。試験的にアクセスポイントを設置したんだ。

ネコSE:特に今まで利用者から大きな不満は出ていないですよね。それなら今度の全社導入もそれと同じアクセスポイントを全フロアに設置していけばよさそう。

最大通信速度が有線並みに

センパイ:猫瀬君、そのアクセスポイントはもうかなり古いもので、IEEE 802.11n(以下、11n)という規格にしか対応していないよ。規格は進歩していて、その後はIEEE 802.11ac(以下、11ac)やIEEE 802.11ax(以下、11ax)という規格が出てきたんだ(表1)。

表1●無線LANの規格は進化している
無線LANの規格はIEEEという団体が策定している。最初の規格であるIEEE802.11では理論上の最大通信速度は2Mビット/秒だったが、最新のIEEE802.11axでは9.6Gビット/秒まで向上している。
表1●無線LANの規格は進化している
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ネコSE:アイトリプ…って何ですか?

センパイ:アイトリプルイーだよ。米国に本部を置く電気・情報工学分野の学術研究団体だ。無線LAN関連の標準規格は、IEEEが「IEEE802.11」という名称で策定している。IEEEは1997年に最初の規格であるIEEE 802.11を策定したんだけど、理論上の最大通信速度はわずか2Mビット/秒(bps)だ。

ネコSE:たったそれだけですか。僕の自宅のインターネット回線でも100Mbpsは出ますよ。

センパイ:その後策定されたIEEE802.11bでは11Mbps、IEEE802.11aとIEEE 802.11gでは54Mbpsにまで最大通信速度は向上した。11nでは規格上の最大通信速度は600Mbpsまで拡張されたんだ。

ネコSE:最初と比べると300倍ですね。

センパイ:このあたりから無線LANが世の中で使われるようになってきたんだ。ちょうど開発部のフロアに無線LANを整備したのもこの時期だったな。

ネコSE:スマートフォンやタブレットが出回り始めたのもその頃でしたね。

センパイ:その後11acの最大通信速度が6.9Gbpsに達し、無線LANもギガビットの時代に突入した。そして11axでは9.6Gbpsもの最大通信速度を実現している。もはや無線LANが業務利用で主流の通信手段になり、有線LANの代わりに使う企業も増えてきた。

ネコSE:9.6Gbps って、そこらの有線LANよりも速いですね。