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複数の端末で同時に通信

センパイ:無線LANの通信では、同一チャネルにおいては一度に1台の端末しか通信できないんだ。

ネコSE:有線LANでいうところの半2重通信ということですか。

センパイ:その通り。具体的にはCSMA/CAという衝突回避の方式を利用している。どこかの端末が通信している間は他の端末は待つ仕組みになっている。

ネコSE:通信できるまでおとなしく待っている、と。

センパイ:そのため接続された端末の台数が多くなると、全体の通信がどんどん遅くなる。この問題を解決するため、11ac以降では、MIMOの技術を使って複数の端末が同時に通信できるようになった。これをMU-MIMOと呼ぶ。

ネコSE:素晴らしい!

センパイ:MU-MIMOを使うと、複数の端末が同時に通信できるようになるため、端末数が増えても遅くなりにくい(図4)。11acではMU-MIMOで同時通信可能な端末数は最大8台までで、アクセスポイントから端末に向けた下り方向の通信でしか対応していなかった。これが11axでは上り方向の通信もサポートするようになったんだ。

図4●複数の端末との同時通信が可能なMU-MIMO
図4●複数の端末との同時通信が可能なMU-MIMO
従来のMIMOではアクセスポイントと同時に通信できる端末は1台だけだった。これに対しMU-MIMOでは複数の端末が同時に通信できるようになった。これにより通信の効率が高まる。
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ネコSE:そういえば土良部長は自宅のアクセスポイントを取り替えたらしいですよ。「11ax対応製品だから9.6Gbpsで通信できる」って喜んでいました。そのときは意味が分からなかったんですけど。

センパイ:いや、9.6Gbpsというのはあくまで規格上の最大理論値だよ。160MHz幅のチャネルボンディングや8空間ストリームなどの機能をフルに使ったときの話だ。今のアクセスポイントや端末ではそこまでの性能は出ないよ。

▼bps
bit per secondの略。
▼MIMO
Multiple-Input and Multiple-Outputの略。
▼CSMA/CA
Carrier Sense Multiple Access/Collision Avoidanceの略。搬送波感知多重アクセス/衝突回避方式。有線LANでは、これに似たCSMA/CD(Collision Detection)という方式が使われている。
▼MU-MIMO
Multi User-MIMOの略。