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 とある企業の情報システム部門。若手社員で頼りなかった通称「ネコSE」も、無線LANの知識の豊富な「センパイ」のおかげで少しずつ成長してきた。主担当を任されている自社の無線LAN導入プロジェクトもアクセスポイント(AP)の台数、管理方式、セキュリティーなど着々と決まってきた。今回はAPの機種選定で相談があるぞ。

ネコSE:センパイ。会社の無線LANに導入するAPの機種を決めているところなのですが、やっぱり最近よく見る「ウィフィろく」に対応したものがいいですよね。

センパイ:ウィフィろく…。猫瀬くん、もしかしたらWi-Fi 6のことを言っているのかな。

ネコSE:え?あれワイファイシックスって読むのですか。ところでWi-Fi 6ってどういう意味ですか?

センパイ:そうだな。簡単に言うとWi-Fi 6は最新の無線LAN規格であるIEEE 802.11ax(以下11ax)のことだ。猫瀬くん、無線LANの規格はIEEE 802.11という名称で策定されていることは知っているよね。

ネコSE:当たり前じゃないですか。IEEEは無線LANだけでなく、LAN関連の規格を標準化している団体ですよね。

センパイ:よく覚えていたね。無線LANの製品はIEEE 802.11で定められた規格に基づいて機能を実装している。ところがIEEE802.11はあくまで規格を定めただけで、APと端末の相互接続については規定していないんだ。仮にメーカーによって規格の解釈が異なっていたりすると、端末がAPにつながらないなんてことが起こったりする。

ネコSE:それは困りますね。

センパイ:そこで、無線LAN製品の相互接続性を確保するため、米Wi-Fiアライアンスという団体が誕生した。Wi-Fiアライアンスが定めた相互接続試験に合格した製品だけがWi-Fiと名乗っていいんだ。

ネコSE:よくAPにWi-Fiのマークが表示されてますけど、Wi-Fiの相互接続試験に合格しているという意味だったのですね(図1左)。

図1●Wi-Fi認証のロゴ
図1●Wi-Fi認証のロゴ
本来「Wi-Fi」と名乗れるのはWi-Fiアライアンスの認証試験に合格した製品だけ。こうした製品は認証済みのロゴ(左)を付けることができる。同様にWi-Fi 6の認証試験やロゴ(右)もある。
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センパイ:そうだ。でもWi-Fiという呼び方が浸透して、無線LANの総称としてWi-Fiと呼ばれているのが現状だけどね。

ネコSE:スマートフォンで無線LANに接続するときも「Wi-Fiをオン」とか言いますよね。

センパイ:無線LANにはいろいろな規格があるので、「Wi-Fi」の一言ではどの規格なのか判断できない。そこでWi-Fiアライアンスがどの世代の無線LANなのか分かりやすくするため、数字で表記することにしたんだ。11axのことをWi-Fi6と名付けた。これに伴ってWi-FiアライアンスはWi-Fi 6の認証も始めた(図1右)。ちなみにこれまでの無線LAN規格も、世代で分けて表記することにしたんだ(表1)。例えば現在一番使われているIEEE 802.11acはWi-Fi 5というわけだ。

表1●Wi-Fiの新しい規格
Wi-FiアライアンスはWi-Fiの世代と規格を判別しやすくするため、世代を数値で表記すると2018年に発表した。
表1●Wi-Fiの新しい規格
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ネコSE:なるほど。