社外で活動する従業員が多い企業では、従業員ごとの作業机を置かず、自由な場所で作業できる「フリーアドレス」を採用しているケースが増えている。従業員が使うパソコンには持ち運べるノートパソコンを採用して、社外と社内でシームレスに業務を行えるようにする。この場合、社内ネットワークへのアクセスには無線LANを使う。
今回トラブルの舞台になったP&Pビジネスコンサルティングも、フリーアドレスを採用している。多くの従業員がノートパソコンを持ち歩き、会社に戻ってきたときは無線LAN経由でネットワークにつなぐようにしている。
2018年2月、社外から戻った従業員がノートパソコンをネットワークにつなげようとしたところ、インターネットやNAS(Network Attached Storage)にアクセスできないトラブルが発生した。
ほかの従業員には異常がなかったため、当初は社外から戻った従業員のパソコン固有の問題だと考えられた。しかし原因は、ネットワークにあった。
DHCPを使ってIPアドレスを割り当てる
P&Pビジネスコンサルティングは、欧州SAPの製品導入を中心としたIT系コンサルティングを手掛ける。本社を含め、国内の事業所はバックオフィスとして機能しており、多くの従業員は顧客先で業務に当たっている。
本社のネットワークは、ヤマハのルーター「RTX1210」を介してインターネットに接続。ルーターに直接つないだ無線LANアクセスポイントを経由して、従業員のパソコンはインターネットにアクセスする。
ルーターには、社内でファイル共有に使うNASと、無線LANアクセスポイント、レイヤー2スイッチをつないでいる。レイヤー2スイッチには、一部の従業員が使うパソコン、ネットワーク経由で印刷するプリンターと複合機を接続している。
従業員のパソコンは無線LANアクセスポイントを使ってネットワークに接続し、ルーターが搭載するDHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)サーバー機能を使って、IPアドレスなどのネットワーク情報を割り当てている。また、NASやプリンター、複合機は固定IPアドレスで運用している。
オフィススペースから少し離れた会議室には、無線LAN中継機を設置。無線LAN中継機からオフィススペースのアクセスポイントを経由してネットワークに接続できるようにしていた。