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社内ネットワークの一部の端末がインターネットに接続できなくなった。接続できないのはWindows 11搭載のパソコンだけだった。調査の結果、認証スイッチとの暗号通信が失敗していたことが判明。認証スイッチの電子証明書を更新してトラブルは解決した。

 システム運用においてサーバーやパソコンのOSのアップデートは重要だ。OSのアップデートには、新機能の追加やセキュリティー対策の拡充を含むことが多い。最新版がリリースされたら都度検証し、素早く本番環境に適用していく必要がある。

 一方でネットワーク機器などアプライアンスのファームウエアは、アップデートが後回しになりがちだ。ファームウエアのバージョンにより機能が変わることが少ないためだろう。だがそれはセキュリティー上の重大な瑕疵につながる場合がある。今回のトラブルのように、ネットワーク機器のファームウエアのバージョンが原因で不具合も発生し得る。

BYOD端末でトラブル発生

 トラブルに遭遇したのは角田 一磨さん。ネットワンシステムズの管理本部DX推進部第3チームで、主に社内ネットワークを管理している。

 ネットワンシステムズではBYOD端末を業務に利用することを推奨しており、実際多くの社員が私用のパソコンで業務をしている。ただし安全を確保するため、BYOD端末で業務アプリケーションを直接実行せず、仮想デスクトップ(VDI)に接続して使う。社内でBYOD端末を使う際には無線LANに接続した上で、インターネット経由でVDIに接続する。社内LANからは、東京にある同社のデータセンター(東京データセンター)を経由してインターネットに接続する。東京データセンターで1日に1度BYOD端末に対して検疫を実施し、安全だと確認できた端末だけがインターネットに接続できる。

 トラブルは2021年11月12日に発生した。角田さんは何人かの社員からBYOD端末でVDIに接続できないと報告を受けた。報告してきた社員は、いずれもWindows 11を搭載したパソコンを持ち込んでいた。

トラブル発生時のネットワンシステムズのネットワーク構成
トラブル発生時のネットワンシステムズのネットワーク構成
ネットワンシステムズでは、社内でBYOD端末をインターネット接続する場合、東京データセンターを介する。BYOD端末の一部が社内の無線LAN経由でインターネットに接続できなくなった。
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接続できないのはWindows 11を搭載したパソコンだけ
接続できないのはWindows 11を搭載したパソコンだけ
複数の社員からインターネットに接続できないという連絡が入った。聞いてみると、いずれもWindows 11搭載パソコンを利用する社員からのものだった。
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 BYOD端末にはWindows 8.1/10やmac OSを搭載したパソコンもあるが、それらの利用者からは接続できないという報告はなかった。角田さんはWindows 11搭載パソコン特有の障害であると目星を付けた。

 とはいえ原因究明よりも、社員が業務を継続するのが先決だ。幸いにも業務用スマートフォンのテザリング機能を使ってインターネットに接続したところ、VDIに接続できた。「VDIへの接続がうまくいかない社員には、社内LANを通さずにテザリングで接続するよう案内しました」(角田さん)。