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PoEインジェクターの利用を中止

 岸本さんはパソコンで新しいスイッチの管理画面を開き、PoEインジェクターにつながる3つのポートの動作モードを「100BASE-TX固定」に変更した。こうすれば、PoEインジェクターを介していても、アクセスポイントと新しいスイッチの該当ポートが100BASE-TXでリンクを確立すると考えたからだ。

ポートの動作モードを固定にすることで対処
ポートの動作モードを固定にすることで対処
新しいスイッチとアクセスポイントのネゴシエーションが、PoEインジェクターのせいで失敗したと推測。新しいスイッチの特定のポートを「100BASE-TX固定」に設定することで、アクセスポイントを利用できるようになった。
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 しばらくするとアクセスポイントのポートのランプが点灯。リンクが確立したことを、スイッチとアクセスポイントの両方の管理画面で確認できた。ただ100BASE-TXの通信が、互いにデータを送り合う全二重ではなく、一方の通信が終わるまでもう一方が通信できない半二重を示す「half」と表示されていた。

 この変更によって、アクセスポイントが利用できるようになり、警告メールは届かなくなった。

 ただ岸本さんは、半二重であることが別のトラブルを引き起こさないかと不安だった。そこで翌日の朝早く研究所に向かい、3台のアクセスポイントの給電をACアダプターに切り替えた。そして各アクセスポイントから伸びたLANケーブルを、PoEインジェクターを介さずに新しいスイッチに直接つなげた。新しいスイッチとPoEインジェクターは隣り合わせに設置していたため、LANケーブルのつなぎ直しはさほど大変ではなかった。

PoE給電からACアダプターに切り替えた設置例
PoE給電からACアダプターに切り替えた設置例
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PoE給電をやめてACアダプターによる給電に変更
PoE給電をやめてACアダプターによる給電に変更
トラブルが発生した日の翌日、半二重通信での運用は不安だったので、PoEインジェクターの利用を中止し、すべてACアダプターによる給電に切り替えた。ただ、ケーブルを増やしたくない場所でPoEを利用していたので、切り替えによってケーブルがごちゃついたり、ACアダプターのコードの長さがギリギリになったりした。
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 ただ岸本さんは、「ACアダプターのコードがギリギリになるなど問題はありました」と振り返る。変更後、アクセスポイントと新しいスイッチが1000BASE-Tで通信できるようになりトラブルを解消できた。

トラブルを振り返って
今回のトラブルを振り返り、岸本さんは次のような感想を話してくれた。
◆事前のテストでPoEインジェクターを使わなかったのは失敗でした。可能な限り、本番環境に近づけるべきでした。
◆ネゴシエーションの失敗が原因だと気づけなかったら解決までにもっと時間がかかっていたかもしれません。こうした基礎的な知識を身に付けておくことが大事だと改めて思いました。
各フロアに設置されていたPoEインジェクター。これにつないでいたアクセスポイントを利用できなくなった。
各フロアに設置されていたPoEインジェクター。これにつないでいたアクセスポイントを利用できなくなった。
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