無線LANを利用しているネットワーク環境でトラブルが起こると、原因は無線LANにあると疑うのは当然だ。だが、そこに捉われ過ぎると、本当の原因を見つけるのが遅れてしまう場合がある。今回紹介するのはそうした事例だ。
トラブルの舞台となった東京足立病院は、電子カルテシステムを2013年5月に構築、2014年2月に本稼働した。
併せてネットワークも刷新している。電子カルテを導入する前は、各部門ごとに紙のカルテを使っており、部門内だけで情報をやりとりしていた。病院全体で情報共有して業務を効率化するために電子カルテを導入したという。
電子カルテシステムやネットワークなどの管理を受け持つのは、同病院の情報システム管理室で副主任を務める宮本 治由己さん。もともと同病院にはソーシャルワーカーとして入職したが、電子カルテシステムの導入を機にSE業務へ異動したという異色の経歴を持つ。
ITシステムの管理は宮本さんがメインで、看護師を兼任しているもう1人と担当しているという。
無線LAN経由で電子カルテを閲覧
東京足立病院には主な建物として本館、中央館、新館、北棟の4棟がある。これらとは別に宮本さんが普段作業している情報システム管理室がある、「作業部屋」と呼ばれる小さな建物がある。
中央館の1階にはサーバー室があり、サーバーやファイアウオール、ルーター、スイッチなどが置かれている。
サーバーやファイアウオール、VPN(Virtual Private Network)用のルーターなどはレイヤー2スイッチ(L2スイッチ)で束ねて、コアスイッチの役割を果たすレイヤー3スイッチ(L3スイッチ)につないでいる。
L3スイッチはさらに、各フロアーにあるL2スイッチと光ファイバーケーブルで接続している。
各フロアーのL2スイッチには、無線LANアクセスポイント(AP)を収容するためのPoE(Power over Ethernet)スイッチを接続している。電子カルテ閲覧用のノートパソコンはAP経由でネットワークに接続する。つまり、電子カルテは無線LAN経由で見ることになる。