トラブルは、ネットワークに何らかの変更を加えたときに起こることが多い。ネットワーク機器の設定を変更したり、機器を交換したりしたときが典型的だ。
設定変更時のトラブルであれば、設定ミスが一番に疑われる。一方、機器交換のトラブルについては原因が様々だ。例えば、機器の初期不良や、必要な機能が初期設定で無効になっていたケースがある。
今回紹介するのは、LANスイッチを新しい機器に交換した際に起こったトラブルである。だが、原因は機器の初期不良でも初期設定でもなかった。
通信をサーバー室のスイッチに集約
トラブルが起こったのは、下水道管理を手がける管清工業の横浜技術センターだ。同センターは、横浜市のよこはま動物園ズーラシアの近くにある。最寄りのどの駅からもバスやタクシーに乗る必要があり、交通の便はあまり良くない。
管清工業には、東京都内の本社や三田オフィスなど日本全国に複数の拠点があり、横浜技術センターもその1つだ。各拠点の間はNTTコミュニケーションズのVPN(Virtual Private Network)サービスである「Arcstar Universal One」で接続されている。
横浜技術センターは4つのフロアから成る。4階にサーバー室があり、センター内の通信を集約するLANスイッチが設置されている。同社はこのスイッチを「基幹スイッチ」と呼んでいる。基幹スイッチは2台で構成し、サーバーと同じラックに格納している。ラックには、万一の場合に備えた予備のスイッチも用意されている。
1階から4階のフロア間は建物を縦に走るLANケーブルで接続している。このLANケーブルを同社は「基幹ケーブル」と呼ぶ。フロアごとに1台のスイッチを設置し、基幹スイッチとの間を基幹ケーブルで接続する。同センターでは、フロアごとに設置したスイッチを入れ替える作業を進めていた。
トラブルは、3階の通信を集約するスイッチを新しいPoE(Power over Ethernet)スイッチに交換したときに起こった。3階の無線LANと有線LANが通信できなくなってしまったのだ。トラブルに遭遇したのは、同センターでシステム管理を担当している渡部一春さんである。