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遠隔地の拠点から「ネットワークが使えなくなった」という連絡が本社に入った。支社の担当者と協力して遠隔から調査した結果、原因がループだと推測したが解決には至らなかった。最終的には拠点に直接出向いてループを形成しているLANスイッチを見つけ、トラブルを解決した。

 トラブル自体はありがちなものでも、それが目の前で起こるのと遠隔地で起こるのでは事情が全く違ってくる。慣れた技術者であればポイントを押さえて検証し、すぐに原因を特定できるようなシンプルなトラブルでも、遠隔地で起こると同じようにはできない。推測はできてもなかなか確証を持てないだろう。

 さらに現場にはネットワークに不慣れなシステム担当者しかいない可能性も十分ある。その場合、的外れな答えが返ってきたり、確認のための作業をしてもらえなかったりする。電話を通じて言葉だけで指示しても、伝わりにくいこともある。ネットワーク図など手元にある情報が、実際と違っているとさらに解決は困難になる。

年末の最終出社日にトラブル発生

 そのようなトラブルを経験したのが、アド近鉄で情報システムの専任担当者をしている横手 修さんだ。アド近鉄は近鉄グループの広告代理店で、大阪市にある本社と5カ所ある拠点(支社や工場)をソフトバンクのVPNサービス「SmartVPN」を使ってつないでいる。インターネットにはSmartVPNが提供するゲートウエイ機能を通じて接続。インターネットとのやりとりにはファイアウオールを介している。

アド近鉄のネットワーク構成
アド近鉄のネットワーク構成
本社と全国5拠点をVPNサービスで接続している。情報システムの専任担当者は本社にしかおらず、各拠点には兼務の形でシステム担当者を配置している。本社以外の拠点でトラブルが発生すると、拠点のシステム担当者と協力して解決に取り組むことになる。
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 本社に勤める横手さんのもとに、ある拠点(図の拠点A)から「インターネットにつながらない」というトラブルの一報が入ったのは、年の瀬も押し詰まった2018年12月30日の午前10時ごろ。当日はアド近鉄の年内最終出社日で、年内の仕事は午前中に終了するはずだった。

 「インターネットにつながらないということだったので、原因が社内なのか社外なのかすぐに判断できませんでした。そこでちょっと様子を見てから連絡がほしいと伝えました」と横手さんは当時を振り返る。

 すると10分ぐらい経過したところで「共有ファイルにアクセスできない」「拠点のサーバーにつながらない」といった連絡が入った。社内で何らかのトラブルが発生しているのは明らかだったので、その拠点のシステム担当者に連絡し、ネットワークの状況を確認してもらうことにした。