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移転直後のオフィスで、無線LAN経由のインターネット接続速度が遅くなるトラブルが発生した。ベンダーに問い合わせると、レイヤー3(L3)スイッチのファームウエアのバグが原因と判明。特定の条件下では通信速度が低下するという。ファームウエアをアップデートすると解消した。

 オフィスの移転時には、ネットワーク機器を新品に置き換えることが多い。新品なので問題なく動作することを期待するがそうとは限らない。ファームウエアなどにバグが潜んでいることがあるからだ。今回紹介するトラブルは、そのようなバグが原因だった。

オフィス移転直後にトラブル発生

 トラブルに遭遇したのは佐藤 秀顕さん。法律業務に関するソフトウエアを開発・販売するリーガルフォースのコーポレートエンジニアだ。

 リーガルフォースは2021年5月6日に本社を移転した。これに合わせてネットワーク機器を入れ替え、クラウド型無線LANサービスを導入した。フロアのどこにいても無線LANを利用できる環境を整備している。

トラブル発生時のリーガルフォースのネットワーク構成
トラブル発生時のリーガルフォースのネットワーク構成
コアスイッチとなるL3スイッチは2台をスタック構成にして冗長化した。運用を開始すると、社内のパソコンからインターネットへの通信速度が数Mビット/秒しか出なかった。
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 佐藤さんがトラブルに遭遇したのは移転当日の正午ごろだ。複数の社員から「インターネットへの接続速度が遅い」と報告を受けた。

 佐藤さんはまず状況確認のため、大半の社員と同じように無線LANでインターネットに接続。数Mビット/秒程度しか出ないことを確認した。ネットワークの設計上は、100Mビット/秒以上出るはずだった。

 リーガルフォースは多くの業務システムにSaaSを利用している。SaaSはインターネット経由で利用するため、速度低下の影響は大きい。業務の継続が難しいという声が社員から上がった。

問題の発生箇所を絞り込む

 次に社内LANの問題なのかインターネット回線の問題なのかを切り分けるため、ファイアウオールからインターネット上のWebサイトにpingを打った。その際、IPアドレスではなくドメイン名を宛先にした。応答時間だけでなく、名前解決に問題があるかを判断できるからだ。その結果、どのWebサイトからも正常な速度で応答があった。さらにファイアウオールにパソコンを直接接続し、Webサイトの閲覧を試みた。この結果にも問題はなく、Webサイトを快適に閲覧できた。

ファイアウオール直結で速度をチェック
ファイアウオール直結で速度をチェック
まずLANとインターネット接続回線のどちらに原因があるかを切り分けるため、ファイアウオールにパソコンを接続してWebアクセスのレスポンスを確認した。複数のサイトを正常な速度で閲覧できたことから、LANに原因があると判断した。
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 続いて有線LANに接続し、インターネット接続速度を測定した。リーガルフォースでは無線LANが原因のトラブルに備え、有線LAN環境も残していた。フロア各所に配置したローゼット経由でインターネットに接続すると、100Mビット/秒以上の速度が出た。「インターネット接続速度の低下は、無線LANを利用したパソコンで発生することが分かりました」(佐藤さん)。

有線LANで接続を試す
有線LANで接続を試す
試しに有線LANでインターネットに接続してみると、正常な速度で通信できた。トラブルは無線LAN関連で発生していると分かった。
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