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ある施設でインターネットに接続できなくなった。LANスイッチの故障を発見し、交換したが復旧しない。インテグレーターが調査した結果、LANスイッチ2つが故障し、LANケーブルまで破損していることが判明した。すべてを交換してトラブルは解消した。

 ネットワーク機器が故障し、トラブルに発展してしまうことは多々ある。例えばLANスイッチが故障すると、異常なパケットを流したり、パケットを正しく中継できなくなったりする。こうしたトラブルに対応するには、発生箇所を適切に切り分けて原因を調査することが肝要だ。

 しかし複数のネットワーク機器が同時に故障すると、トラブル発生箇所の切り分けが難しくなる。遭遇する確率は低いが、ネットワーク管理者ならば頭の片隅に入れておきたい事象だ。今回紹介するのは、2つのLANスイッチの故障に加えて、LANケーブルまで破損していたというトラブルだ。解決までの道のりを見ていこう。

ネットにつながらないと業務に支障

 トラブルに遭遇したのは、社会福祉法人みなの福祉会が運営する特別養護老人ホームである悠う湯ホームで施設長を務める大島 徹さんだ。大島さんはシステムエンジニアの経験を生かして、悠う湯ホームのネットワークやパソコンなどの機器の管理も担当している。みなの福祉会では悠う湯ホームと複合型介護施設の大浜ケアセンターをインターネットVPNで接続している。

トラブル発生時のネットワーク構成
トラブル発生時のネットワーク構成
社会福祉法人みなの福祉会は、悠う湯ホームと大浜ケアセンターをVPNで接続している。従業員は入居者の健康状態などをパソコンやスマートフォンを使ってクラウドサービスに入力する。
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 また悠う湯ホームではITの活用を進め、入居者の健康状態などの記録に、クラウドサービスを利用している。従業員はパソコンやスマートフォンを使って施設内の無線LANなどを経由してクラウドサービスにアクセスし、必要な情報を入力する。

 トラブルが発生したのは2021年7月3日の午後2時ごろである。休日で外出していた大島さんは施設の従業員からビジネスチャットツールで報告を受けた。「施設のネットワークからインターネットに接続できない」という。前述のように悠う湯ホームはクラウドサービスを利用しているため、インターネットに接続できなければ、業務に支障を来してしまう。大島さんは休日中だったが、トラブルの解消に乗り出すことにした。

インターネットに接続できないと連絡を受ける
インターネットに接続できないと連絡を受ける
施設の従業員からネットワーク管理者の大島さんに、インターネットに接続できないと連絡が入る。大島さんは休日で外出していたため、施設内の様子は分からない。ネットワーク機器の故障を疑い、ルーターとUTMを再起動してもらうことにした。
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