ある顧客から、Web会議システムに関するトラブルの調査を依頼された。音声や映像が途切れるという。問題を切り分けていった結果、インターネットにつながるルーターの「ポートセービング」という比較的新しい機能が原因だと判明。この機能をオフにすることで解決した。
現在では多くの企業でリモートワークが一般的になり、Web会議システムの利用も進んでいる。一方で、Web会議システムにまつわるネットワークトラブルも頻発しているようだ。代表的なのは、音声や映像が途切れるというトラブルである。この場合、考えられる原因は多数あるので問題の切り分けが難しい。
システム運用のコンサルティングやシステム障害の対応支援などを手掛けるアイビーシーの亀山 悟史さんが直面したのも、まさにそういったトラブルだった。亀山さんはどのように問題を切り分けて原因を特定したのか。トラブル解決までの道のりを見てみよう。
顧客からトラブル解決の依頼
2021年10月下旬のある日、アイビーシーの顧客である医療機器メーカーのX社から「Web会議が途切れるトラブルを解決してほしい」という依頼があった。X社では新型コロナウイルスの影響により、社内外のやりとりの多くをZoomなどによるWeb会議で行っている。Web会議の利用が増えるにつれて、音声や映像が途切れるようになったという。亀山さんは「特に業務が始まる朝がひどく、お昼休みの時間帯は若干収まるものの、それを過ぎると再発するとのことでした」と話す。
亀山さんは11月12日に調査を開始。まずはX社のシステム担当者へのヒアリングを実施し、X社のネットワーク構成とトラブルの状況を把握した。
X社は、本社や工場などの拠点とデータセンターをWANで接続している。各拠点からWeb会議を利用する際には、データセンターのインターネット接続回線を経由する。X社のデータセンターでは2社の通信事業者と契約し、2本のインターネット接続回線を利用している。X社の社員が自宅や出先からWeb会議を使う場合はインターネットVPNを使って一度データセンターにアクセスし、そこからWeb会議にアクセスする。