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予想外のIPアドレス割り当て

 今回のトラブルを理解するには、2社のVLANの構成を理解しておく必要がある。VLAN1には運輸情報ネットワークであるARINETが割り当てられている。ARINETは独立したネットワークであり、本社のネットワークとは接続していない。固定IPアドレスで運用しており、スイッチの1番から4番のポートを使用する。

VLANを使ってネットワークを論理分割
VLANを使ってネットワークを論理分割
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 VLAN2は業務1に対応し、5番から8番のポートを使用。「172.25.x.x」のプライベートIPアドレスをDHCPで割り当てている。VLAN3は業務2に対応し、ポートは9番から12番、DHCPで割り当てるIPアドレスは「172.26.x.x」だ。

 連絡を受けた石倉さんは、その日のうちに立山駅に駆け付けて調査を開始した。立山駅には、L3スイッチの1~4番ポートに接続されたARINET用アクセススイッチと、9~12番ポートに接続された業務2用アクセススイッチがある。

 立山黒部貫光は2005年に立山開発鉄道を吸収合併した。VLAN2は旧立山黒部貫光のネットワーク、VLAN3は旧立山開発鉄道のネットワークに相当する。

 LANケーブルの配線を調べていくと、ARINET用アクセススイッチと業務2用アクセススイッチが誤って接続されているのを発見した。このLANケーブルを外したところ、複合機のスキャンデータがパソコンに問題なく届くようになった。

誤接続のLANケーブルを外していったんは解決
誤接続のLANケーブルを外していったんは解決
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 ただ、ARINETは固定IPアドレスで運用している。「アクセススイッチ同士がつながっていても、本来は問題ないはずです」(石倉さん)。別の原因が隠れているのではないかと疑い、調査を続行した。

予想外のIPアドレスが割り当てられていることが判明
予想外のIPアドレスが割り当てられていることが判明
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 立山駅ではレイアウト変更により、LANケーブルの接続状況がよく分からなくなっていた。そこで手持ちのノートパソコンを様々な場所に接続し、ネットワーク構成を確認した。ARINET用アクセススイッチに接続したとき、なぜか業務1のIPアドレスである「172.25.x.x」がノートパソコンに割り当てられた。「本来は起こり得ないことです」(石倉さん)。

 ここで石倉さんはピンときた。「どこかの駅でARINET用アクセススイッチと業務1用アクセススイッチが誤接続されている」と推測したのだ。候補は、業務1に対応したVLAN2がつながっている室堂駅、大観峰駅、黒部平駅、黒部湖駅の4駅だ。