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矢田:では、スマートフォンから調べてみます。2.4GHz帯のRT-AX88Uと5GHz帯のRT-AX88_5Gのアクセスポイントが確認できます(図3左)。タップしてパスワードを入れると、問題なく接続できます。

図3●実験1の結果(その1)
図3●実験1の結果(その1)
スマートフォンから見える無線アクセスポイントが、ノートパソコンからは見えなかった。
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神崎:次は、問題のノートパソコンですね。あれ、確かにノートパソコンからは11axのアクセスポイントが見えませんね(同右)。

片岡:無線LAN電波測定ツールでは、どうだ?

神崎:見えません(図4)。

図4●実験1の結果(その2)
図4●実験1の結果(その2)
ノートパソコンに搭載した無線LAN電波測定ツールでも、対象とする無線アクセスポイントが発している電波は表示されなかった。
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片岡:うーん。いつも無線LANの電波状態を確認するために使っているツールでアクセスポイントの電波が見えないとなると、これは問題だな。

神崎:11axだけ見えませんね。

片岡:もう一度、11acと11axの違いについて調べてみよう。

神崎:そうですね。あっ、これはどうでしょう。11acと11axでは、無線LANの通信に使うフレームの構成が少し変わっているようです(図5)。

図5●IEEE 802.11acと11axのフレーム構成の違い
図5●IEEE 802.11acと11axのフレーム構成の違い
11axではフレームフォーマットが変更されている。
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矢田:11acではVHTだったところが、11axではHEに変わっているわ。

片岡:古い規格との互換性を考慮して、レガシーを意味するLが付いたプリアンブルの最初の部分は同じだが、それ以降については大きく変更されているな

矢田:もしや、この無線LANフレームを変更したことが、今回の不思議な現象と関係しているんじゃないかしら?

片岡:その可能性はあるな。今回使った無線LANアクセスポイントを調べてみよう。11axのフレームについて何か情報があるかもしれない。

▼VHT
Very High Throughputの略。
▼HE
High Efficiencyの略。
▼プリアンブル
正確にはPLCP(Physical Layer Convergence Protocol)プリアンブルと呼ばれる。信号の物理的なタイミング(同期)を取るための情報。
▼大きく変更されているな
無線LANの高速化技術は11nから大きく変わっている。11nはHT(High Throughput)と呼ばれ、11acと11axではHTの延長となる技術を使っている。一方、11nより前の技術はnon-HTと呼びレガシーと表現されることもある。