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 無線LANは、端末のデータ通信以外にも利用できます。最終回である今回は、無線LANを利用して端末の位置を検知するシステムを説明しましょう。

 最近は、IoT向けのLPWA(LowPower Wide Area)という無線通信の技術が注目を集めています。こうした技術に対する無線LANの優位性は、技術仕様が確立しており、対応する端末が豊富なことです。スマートフォンやタブレットといった端末のほとんどが無線LANに対応しています。

 今では個人が無線LAN対応端末を常に持ち歩いています。こうした端末を利用することで、端末を持つ人の位置を検知できます。

 無線LANによる位置検知は様々なところで使われています。例えば、GPS衛星の電波が届かない屋内では、GPSの代わりに位置を検知するのに無線LANが使われています。また、後述するように倉庫や工場、商業施設や店舗で利用される例もあります。

3点計測で位置を特定

 電波には、送信側と受信側の距離が離れるに従って減衰するという特徴があります。無線LANによる位置検知ではこれを利用します。端末がアクセスポイント(AP)から受信する電波の信号強度を無線LANコントローラーなどで把握し、APから端末までのだいたいの距離を計算します。端末が複数のAPからの電波を受けている場合は、信号強度はAPによって異なります。これが、端末とそれぞれのAPとの距離を反映した情報になります。

 1台のAPの電波の信号強度からは、APを中心とした円周上に端末があることしかわかりません。2台のAPを使えば、位置の候補を2カ所に絞れます。さらに、一直線上にない3台のAPを利用すると、端末の位置を特定できます(PICT1)。こうした位置の特定方法を3点計測方式と呼びます。無線LANの電波の信号強度で判断するため、端末側に特別なハードウエアが必要ないというメリットがあります。

PICT1●端末が受信する電波の強度を利用して位置を検知
PICT1●端末が受信する電波の強度を利用して位置を検知
端末がAPから受信する電波の信号強度で、APからのだいたいの距離がわかる。複数のAPからの受信電波を利用すると、検知する端末位置の精度が上がる。信号強度で判断するため、端末に特別なハードウエアを搭載する必要がない。
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 ただし、電波は距離だけでなく障害物などによっても減衰します。このため、1~5m程度の誤差が発生するのは避けられません。