ネット君 この前、ネットワークの本を読んでいたら、「サービスの品質」って言葉がありました。サービスの品質って言われても、なんかピンときませんよね。
インター博士 QoS▼のことかね?
ネット君 あー、そんなのもありましたね。サービスの品質…。ホスピタリティーとか?
インター博士 ネットワークのホスピタリティーって何だろうな。
ITのシステム開発などでは、品質と言えば、そのシステムが顧客の要求をどれだけ満たしているかを指す。品質を管理することは品質マネジメントなどと呼ばれ、プロジェクトマネジメントの一分野になっている。
品質を不安定にする3つの項目
一方、同じITでも、ネットワークの分野では品質の意味が異なる。ネットワークでの品質は、「パケットロス」「遅延」「ジッター」の3つの項目で示される(図1)。
パケットロスは、送信途中のパケットが失われること。パケットロスは、外部のノイズなどによるエラーや輻輳によって発生する。
遅延は、パケットが宛先に到着する時刻が想定よりも遅れること。ジッターは、パケットごとに到着時刻が異なることである。到着時刻の揺らぎともいえる。
これらの値が小さいネットワークは「品質が良い」ネットワークとされる。逆に品質が悪いネットワークでは、通信が不安定になる。通信速度が極端に悪化したり、パケットロスにより通信不能になったりする。ネットワークを安定させて運用するには、これらの値をできるだけ抑える必要がある。
ネット君 はー、パケットロスに遅延、それにジッターですか。
インター博士 通信を不安定にする要因、というところだな。
ネット君 不安定要因が小さいのが品質の良いネットワークというわけですね。
受け取った順に送信
基本的にIPネットワークにおいては、コンピューターやネットワーク機器は、受け取った順にパケットを処理して送信する(図2)。このような処理は、FIFO▼と呼ばれる。日本語では、先入れ先出しなどと訳される。FIFOでは、パケットのサイズや内容、宛先などは考慮しない。
このため、ネットワークの状況が変化すると、それに伴ってサービスの品質も変化する。このようなサービスの提供形態をベストエフォート型▼と呼ぶ。最大限(ベスト)の努力(エフォート)はするが、品質は保証しない。
ベストエフォート型では、パケットロスや遅延が発生するため、IP電話などのリアルタイム性が要求されるサービスには向かない。そこで、そういったサービスでも問題なく利用できるように、ネットワークの品質を管理し保証するのがQoSである。