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ネット君 インターネットってでかいですよね。

インター博士 何を基準に「でかい」と言っているか分からんが。

ネット君 サイズですよ。あんなにでかいのに、データがよく宛先に届きますよね。

インター博士 ふむ、ではインターネットのルーティングの話をしようか。

 インターネットは世界中のネットワークが相互接続された巨大なネットワークである。ほとんどの場合、1つの組織によって複数のネットワークがまとめて管理されている。具体的には、インターネット接続事業者(ISP)や大手企業などが複数のネットワークを統一したポリシーで運用している。

 統一されたポリシーで運用されるネットワーク群を「AS」と呼ぶ。日本語では自律システムなどとも呼ばれる。よってインターネットはASの集合体といえる(図1)。

図1●インターネットはASの集合体
図1●インターネットはASの集合体
統一されたポリシーでISPや企業、研究機関などが運用するネットワーク群をAS(自律システム)と呼ぶ。インターネットはASの集合体といえる。ASには世界中で一意の番号であるAS番号が割り当てられている。
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AS間ではBGPを使う

 異なるネットワークとやりとりするデータは、ルーターが中継する。ルーターが次のルーターを決める処理をルーティングと呼び、そのためのプロトコルをルーティングプロトコルという。

 ASの内部で使うルーティングプロトコルはIGPと呼ばれる(図2)。具体的には、RIPやOSPFといったプロトコルが該当する。

図2●ルーティングプロトコルはAS内部とAS間で異なる
図2●ルーティングプロトコルはAS内部とAS間で異なる
AS内部で使われるルーティングプロトコルはIGP、AS間で使われるルーティングプロトコルはEGPと呼ばれる。EGPとしてはBGPが使われている。BGPではそれぞれのASに一意のAS番号を割り当てる。
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 一方、AS間で使われるルーティングプロトコルはEGPと呼ばれる。同じ名称なので紛らわしいが、EGPにはEGPおよびBGPというプロトコルがある。現在はEGPは使われておらず、BGPのバージョン4(BGP-4)が使われている。

 BGPでは、ASごとに世界で唯一の番号を割り当てて、それぞれを識別できるようにしている。その番号をAS番号と呼ぶ。AS番号はICANNが管理している。

ネット君 んー、宛先ネットワークにルーティングするのに、IGPとEGPで違いがあるんですか?

インター博士 ルーティング自体には変わりはない。違いはそのための情報交換の方法と、ルーティングテーブルの作成方法だな。