インター博士 今回は「ディレクトリーサービス」の話をしよう。
ネット君 ディレクトリー?Linuxで言うところのフォルダーですよね。フォルダーサービス?
インター博士 ふむ、近いような遠いような。
ディレクトリー(directory)は「登録簿」や「住所録」といった意味であり、情報をまとめた記録といえる。
Linuxなどでは、ディレクトリーはファイルシステムの用語である。ハードディスクなどに保存されたファイルのサイズや名前、保存場所、IDなどを記録した特殊なファイルをディレクトリーと呼ぶ。複数のファイルや別のディレクトリーをグループ化するのに使われている。Windowsのフォルダーと同様に、複数のディレクトリーを入れ子にして階層構造にすることができる。
一方、ネットワークの用語であるディレクトリーサービスは、管理したい情報をまとめた登録簿(ディレクトリー)を作り、それに対する問い合わせ(検索)、変更、削除を可能にするサービスである。
ネットワーク資源を一元管理
例えば、ネットワークに存在するファイルを一元管理できる(図1)。ネットワークに複数のファイルサーバーがある場合、特定のファイルを探すにはそれぞれのファイルサーバーに問い合わせる必要がある。
だが、ファイルのディレクトリーを作成しておけば、それを調べるだけで特定のファイルの保存場所が分かる。それぞれのファイルサーバーに問い合わせる必要はない。ディレクトリーを管理するサーバーはディレクトリーサーバーと呼ぶ。
ディレクトリーは、特定のデータを収集して管理する。この点ではデータベースと同じだ。ただ、データベースは情報の追加や更新が主な役割であるのに対して、ディレクトリーは検索が主な役割である。
代表的なディレクトリーサービスの1つがDNS▼である(図2)。DNSでは、ドメイン名やIPアドレスといった資源(リソース)を管理する。
DNSにおいてディレクトリーに該当するのがドメイン名前空間▼だ。ディレクトリーサーバーに当たるのがDNSサーバーになる。
ネット君 なじみのあるDNSもディレクトリーサービスの1つだと聞くと、身近に感じますね。
インター博士 DNSの仕組みを考えると、ディレクトリーサービスを理解しやすいぞ。
ディレクトリーサービスには、X.500▼という標準規格がある。ディレクトリーサービスの構成要素▼としては、ディレクトリー、ディレクトリーサーバー、ディレクトリーサーバーにアクセスして検索などを行うクライアント、クライアントとサーバー間の通信プロトコルが挙げられる。通信プロトコルはディレクトリーアクセスプロトコルと呼ばれる。