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6/29 線をつまむだけで通信エリア化 NTTドコモの「つまむアンテナ」

 NTTドコモはスペイン・バルセロナで開催した世界最大級のモバイル展示会「MWC Barcelona 2021」(以下、MWC)に合わせて、東京都内で展示内容を報道陣向けに公開した。

 通信環境の改善技術の1つとして展示したのが「つまむアンテナ」である。つまむアンテナを構成するのは、ケーブルのような誘電体導波路と、洗濯ばさみのような誘電体を装着した留め具である。

 留め具で誘電体導波路の一部をはさむと、留め具の誘電体が密着した部分から電波が放射され、はさんだ周囲を通信エリア化できる。これにより通常の基地局よる電波が届かない場所を手軽にエリア化したり、留め具によって自在にエリアの調整ができたりする。誘電体導波路はフッ素樹脂などで構成し、ミリ波帯の電波などにも対応する。

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(出所:NTTドコモ)
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 デモンストレーションでは、60GHz帯の電波を用い、留め具の位置によって通信エリアが変わる様子を披露した。工場内を模したミニチュアを使い、動いているベルトコンベヤーをカメラで撮影。撮影した映像をつまむアンテナを通じて伝送させた。留め具の位置によって、映像伝送ができたりできなかったりする様子で電波の範囲を見せた。

 ただし課題もある。つまむアンテナは留め具の数や送信機からの距離に応じて電波の強度が変わる。留め具の誘電体の形・材料などで、電波の放射の仕方も変わるため、NTTドコモはさらに同技術の活用方法や誘電体に関する開発などを進めていく。

7/6 マルチアンテナ技術を全展開 ファーウェイが5G新製品

 中国ファーウェイ・テクノロジーズはMWCで第5世代移動通信システム(5G)の新製品を発表した。いずれも基地局向けで、すべての周波数帯や利用場面で同社のマルチアンテナ技術を活用する。

 まず同社が業界唯一とする、帯域幅400MHz対応の64×64Massive MIMOアンテナ。1台で3.7G~4.2GHz全域に対応する。また、広帯域での大容量通信に対応することから、複数の事業者によるリソースを共有する形での運用も可能となる。ユーザー体験を大幅に向上させながら、アンテナモジュールの設置面積と消費電力の大幅な削減を可能にする。

 次に業界最軽量とする1台の重量19kgの64×64Massive MIMO装置。作業者が1人で運搬、設置でき、建設効率を向上させる。

 このほか無線装置とアンテナ素子を一体化させた「Blade AAU Pro」や、従来1帯域にしか対応していなかったのを3帯域に対応させた「Blade RRU Pro」、商用FDD対応Massive MIMO装置を発表した。

(出所:ファーウェイ・テクノロジーズ)
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FROM EDITOR

派手な演出や製品発表が相次いでいたMWC。2020年は開催中止となったが、2021年はオンラインと現地のハイブリッド開催となった。例年であれば派手なスマートフォンの新製品発表が相次ぐところだが、今回はあまり目立った発表がない。そこでマニアックなアンテナ技術に目を向けた。つまむアンテナは電波のエリアを面ではなく線で拡大する可能性を示した。ファーウェイは経済制裁の苦境を技術で突破する取り組みと感じた。

(北郷)