2020年は多くの企業でテレワークの導入が進み、ビデオ会議ツールのセキュリティー問題やVPN▼製品の脆弱性を突く攻撃が発生した(図1)。マルウエア(コンピューターウイルス)の「Emotet」が猛威を振るった年でもあった(図2)。
それでは2021年はどのようなサイバー攻撃が見込まれるのだろうか。セキュリティーベンダー各社の予測を見ていこう。
自宅ネットが踏み台にされる
トレンドマイクロとファイア・アイが2021年のセキュリティー脅威に挙げるのはテレワーク環境への攻撃だ。トレンドマイクロは2020年12月に発表したリポート「2021年セキュリティ脅威予測」で、ホームネットワークが新たな踏み台になる可能性を指摘した(図3)。
2021年はテレワークの普及に伴い、自宅で働く機会が増える。しかし自宅のインターネット接続環境は企業ネットワークほどセキュリティーが強固ではない。修正パッチ(セキュリティー更新プログラム)が未適用の端末やネットワーク機器が存在する可能性もある。攻撃者はホームネットワークにある端末や機器を乗っ取り、それらからVPNなどを経由して企業ネットワークに侵入する危険性があるという。
トレンドマイクロのリポートでは、脆弱性のある端末や機器を攻撃者が乗っ取り、それらのアクセス権を別の攻撃者に販売するビジネスを展開すると予想。アクセス権を購入した攻撃者が企業の役員やシステム管理者のホームネットワークなどにアクセスする可能性があるとした。
ファイア・アイが2020年11月に発表したリポート「グローバル・リセット:サイバーセキュリティ予測2021」では、ビデオ会議ツールで利用するWebカメラのセキュリティーや従業員の代替として配置される産業用ロボットの脆弱性を指摘した。テレワークで業務を進める際は、ホームネットワークのセキュリティーを強固に保つだけではなく、パソコンに接続する機器にもセキュリティー対策が求められそうだ。