全2121文字
PR

 企業が自社専用の5G(第5世代移動通信システム)ネットワークを構築できる「ローカル5G」に注目が集まっている。様々な事業者が免許を申請するとともに、関連サービスの提供や実証実験を進めている。

 その1つが、FTTHやケーブルテレビインターネットといった固定通信サービスを提供する事業者だ。ローカル5Gを用いたFWA(固定無線アクセス)の実証実験に取り組んでいる。

 固定通信事業者の狙いは、集合住宅ユーザー向けインターネット接続サービスの強化。VDSL(超高速デジタル加入者線)などをローカル5GのFWAに置き換えることで、ラストワンマイルの高速化を狙っている。

光配線が困難な集合住宅も

 FWAは、ユーザー宅近くのラストワンマイルだけ無線を用いるシステムである。ラストワンマイルよりバックボーン側は、光ファイバーなどでつなぐという構成を採る。一部の固定通信事業者は、そのラストワンマイルとしてローカル5Gを使いたいと考えている。

 なぜ集合住宅のユーザーがターゲットなのか。そこには集合住宅ならではの問題がある。

 例えば集合住宅向けFTTHサービスは、古くからあるサービス品目だと集合住宅内が電話線を使うVDSLになっており、これ以上の高速化が望めない場合がある。

 これらを光配線にすれば高速化を図れるが、「配線工事には集合住宅の管理組合が合意しなくてはならないが、それが得られない」という理由で古い配線のまま使い続けているユーザーが少なくない。物理的に光配線にすることが難しいケースもあるようだ。

 だがFWAならユーザーがCPEを置くだけで済む(図1)。ここでは2社の取り組みから、ローカル5Gを用いたFWAのメリットと、実現に向けての課題を見ていく。

図1●VDSL方式のFTTHサービスとローカル5Gを用いたFWAサービスの構成の違い
図1●VDSL方式のFTTHサービスとローカル5Gを用いたFWAサービスの構成の違い
オプテージの例。オプテージへの取材を基に編集部で作成した。
[画像のクリックで拡大表示]

4階建てのビルで実証実験

 関西電力グループのオプテージは、大阪府内でFWAの実証実験を進めている。期間は2021年4月までを予定している。

 実証実験の舞台は、集合住宅と同じ造りの4階建てビル(写真1)。その近くにある構内柱の高さ6mにローカル5G無線局を設置(図2)。約10m離れたビルの室内には電波を受信するCPEを置いた。

写真1●オプテージがローカル5Gを用いたFWAの実証実験をしている建物
写真1●オプテージがローカル5Gを用いたFWAの実証実験をしている建物
集合住宅と同じ造りの4階建てビルを使用している。写真はオプテージ提供。
[画像のクリックで拡大表示]
図2●オプテージの実証実験環境の概要
図2●オプテージの実証実験環境の概要
左が外観、右は室内の様子。オプテージへの取材を基に編集部で作成した。
[画像のクリックで拡大表示]

 周波数は28GHz帯の100MHz幅を使用している。無線局の直近に端末があるなど条件が極めて良ければ、通信速度は下り700M~800Mビット/秒程度、上り150Mビット/秒程度になるという。CPEにはセイコーソリューションズの製品を使用している(写真2)。

写真2●オプテージの実証実験で使用しているCPE
写真2●オプテージの実証実験で使用しているCPE
セイコーソリューションズの製品を使用している。写真はセイコーソリューションズ提供。
[画像のクリックで拡大表示]

 2021年3月までに得られた実験結果によれば、CPEを窓の近くに置いた場合は問題なく電波を受信できているという。一方で窓から遠いところ、例えば廊下の近くにCPEを置くと電波が届かないケースがあるとしている。