ついにインターネットのバックボーンは400Gビット/秒へ──。インターネット事業者(ISP▼)間を接続するインターネットエクスチェンジ(IX▼)において、アジア太平洋地域で初めて最大伝送速度400Gビット/秒のイーサネット(400GbE)を用いた相互接続の実証実験に成功した。実証実験にはIXサービス事業者のインターネットマルチフィードとインターネットイニシアティブ(IIJ)、NTTコミュニケーションズ(NTTコム)が参加した。
相互接続性の検証が不十分
400GbEは最初の規格が2017年に標準化された後、2019年ごろからルーターやスイッチ、光トランシーバーなどの対応製品が登場し始めた。ここにきて製品価格が下がり、「400GbEインターフェース1本当たりのコストが、100GbEを4本束ねるよりも安くなった」(インターネットマルチフィード 技術部 担当課長代理の川口 慎司氏)。このため大手の通信事業者やクラウド事業者などで、データセンター(DC▼)内やDC間での利用が広がりつつある。
しかしIXでの400GbEの利用は進んでいない。400GbE対応製品は登場してから日が浅いこともあって、ベンダー間での相互接続性の検証が十分ではないからだ。DCのように単一事業者であれば同じベンダーの製品を採用できるが、多数の事業者が接続するIXではそうはいかない。
一方でIXサービスで交換されるトラフィックは指数関数的に増えており、回線の増強は喫緊の課題となっている。実際、インターネットマルチフィードのIXサービス「JPNAP▼」での交換トラフィックは、ピーク時には4.73Tビット/秒に達する(図1)。
JPNAPが提供する最速の回線は、2012年から提供している100Gビット/秒のイーサネット(100GbE)だ。トラフィックの増加に対応するため、100GbEインターフェースを複数束ねて接続するケースが増えている。例えば「32本束ねて使う場合もある」(インターネットマルチフィード技術部次長の榎本 淳志氏)。
使用するインターフェースの数が増えると、全体の故障率が高くなる。ケーブルの取り回しも難しくなり、運用負荷が増加する。インターフェースを広帯域化して使用数を減らせば、故障率や運用負荷の低減が見込める。このため、より広帯域な400GbEの提供が求められているわけだ。