国立情報学研究所(NII▼)は、学術向け基幹通信網「SINET」を6年ぶりに刷新した。拠点間の帯域を従来比4倍の400Gビット/秒に拡張したほか、5G(第5世代移動通信システム)への対応で足回りも強化した。大容量データをリアルタイムで研究に活用するニーズに応える狙いがある。
「SINET6の最大の変化点はデータ基盤への接続だ。大容量データがネットワーク上を自然に流通するようになる」――。2022年5月30日に開催された開通式において、NIIの所長である喜連川 優氏はこう述べた(図1)。
喜連川氏が強調したのは、同研究所が2021年に稼働させた研究用データの管理基盤である「NII研究データ基盤(NII-RDC▼)」にSINETから高速にアクセスできるようにした点(図2)。NII-RDCは、研究データの管理基盤(GakuNin RDM)、公開基盤(JAIRO Cloud)、検索基盤(CiNii Research)の3基盤から構成されている。
この背景には、大学や研究機関で巨大なデータをリアルタイムで活用するニーズが高まっていることがある。これに応えるためSINET6では、「超高性能」と「高信頼」という以前から掲げるコンセプトに磨きをかけたという。