NTT西日本の光回線で2022年8月25日、12府県の一部回線が途絶した。直接の原因は光伝送装置の故障だが、暫定で用意した装置の帯域不足により全30府県の一部回線に速度低下が波及。全面回復までに約5時間を要した。
当初は最大63万回線が途絶
同社は8月29日に記者会見を開催し通信障害の経緯を明らかにした。通信障害はフレッツ光ネクスト/ライト/クロスのIPoE▼方式によるインターネット接続網で、8月25日の午前8時57分に発生。午前9時45分までの48分間、兵庫県や京都府など12府県の一部に当たる最大63万回線で、インターネットにつながらなくなった。
午前9時45分以降はつながるようになったものの、通信速度が通常より遅いなど通信しづらい状態となった。影響範囲も西日本全域の30府県の一部、最大211万回線(当初の63万回線を含む)に広がった。
つながりにくい状態は、午後2時44分に回復するまで最大4時間59分続いた。フレッツ光以外のIPoE接続以外でも、PPPoE▼接続やひかり電話、フレッツ・キャストの一部契約者が、光伝送装置の故障やルート切り替えに伴い一時つながらない、またはつながりにくい状態となっていた。なお、「インターネット接続事業者(ISP▼)の中には各府県の相互接続点(POI▼)を介して接続しているケースもあるため、フレッツ光のIPoE接続の全ユーザーが影響を受けたわけではない」(NTT西日本広報)としている。
「装置内2重化」が共倒れ
最初の障害は大阪府の局舎内にある光伝送装置で発生。同装置に収容されていた全国ルーターの現用系-待機系間経路、全国ルーターと12府県の集約ルーターの各現用系間経路、12府県の集約ルーターの現用系-待機系間経路が途絶した(図1)。
故障した光伝送装置は1台で、内部の制御部のみ2重化していたが、双方の制御部が同時に故障したという。「制御部が2重化されていれば、光伝送装置の故障率からしてさほど問題ないとみていた。ベンダーからも初めて起きた故障事例と聞いており、レアなケースだと理解している」(NTT西日本サービスエンジニアリング部ネットワーク設備部門長の釡江 卓也氏)。
一方この際、全国ルーターと12府県以外の集約ルーターとの間では経路が生きていた。このため「ISP側からは現用系の全国ルーターが正常に機能しているように見えたことから、待機系への自動切り替えは発動しなかった」(釡江氏)。