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SIMを導入すれば自動で接続

 NIDDには、デバイスの大量展開が簡単というメリットもある。NIDDでは、デバイスにSIMを導入すると、自動的にSCEFに接続される。IPの場合は、接続先を指定するURL、URLをIPアドレスに変換するDNS、認証や暗号化のための証明書などが必要になる。そうしたものが一切要らなくなる。

 NIDDでは、デバイスの識別にIPアドレスを使わない。代わりに「IMSI」と呼ばれる識別子を用いる。これは携帯電話事業者のネットワーク内だけで使われる。外部からデバイスを指定する際には、「External ID」という情報を使う。これは「NAI」というフォーマットで定義される。

VPNを使わずセキュアに

 3番目のメリットが「高セキュリティ」である。一言でいえば、インターネットで現在使われている通信方式と同等のセキュリティレベルを、低消費電力・小データで実現できる。

 例えば、従来のLTEとIPベースの方式では、TLSなどを使えば、デバイスからIoTプラットフォームまでエンドツーエンドで高いセキュリティを保つことができる。ところが、この方法ではデバイスへの負荷が大きくなる。「IPでは、デバイスとパブリッククラウドの間でVPNを使えば高セキュリティにできるが、デバイス側のオーバーヘッドが大きい。IoTに求められている省電力や小データという要件にマッチするのはNIDDだ」(先端技術開発本部 本部長 IoT 事業推進本部 副本部長の湧川 隆次氏)。

 NIDDでは、デバイスは外部からSCEFで隠蔽され、外部からはT8のAPI経由でのみアクセスできる。ただし、SCSからSCEFへの制御信号を素通ししてしまうと、デバイスに攻撃できてしまう。そうした信号を出さないようにSCSを運用する必要があるという。「攻撃できるのはここだけなので、ここを安全に作り込めばよい」(コア&トランスポート技術本部 コアネットワーク統括部 担当部長の渡邉 智氏)。

NIDDで付加価値を提供

 NIDDの導入は国際的な流れになっている。SCEFの製品を手掛けるスウェーデンのエリクソンは「北米などの30社以上の携帯電話事業者と取り組んでいる」(エリクソン・ジャパン CTOの藤岡 雅宣氏)という。

 SCEFを核としたNIDDを導入するもう一つの背景として、「単なる土管にはなりたくない」といった携帯電話事業者の思惑がある。多数のデバイスを安価な料金でつなぐIoTでは、回線料金だけでは大きな利益を得られない。このため携帯電話事業者はIoTプラットフォームとセットで回線を販売するなどの取り組みを見せている。さらに、NIDDではSCEFによって様々な付加価値を提供し、収益源にしたいというのが携帯電話事業者の狙いだ。

▼SIM
Subscriber Identity Moduleの略。
▼URL
Uniform Resource Locatorの略。
▼DNS
Domain Name Systemの略。
▼IMSI
International Mobile Subscriber Identityの略。
▼NAI
Network Access Identifierの略。