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 KDDI(au)は2022年10月12日、米スペース・エクスプロレーション・テクノロジーズ(スペースX)と国内の法人企業や自治体への衛星ブロードバンドインターネット「Starlink」提供に関する契約を結んだと発表した。Starlinkは同月11日から国内の消費者向けに衛星ブロードバンドの提供を始めており、既に導入した一部の消費者から通信速度などを評価する声が上がっている。

 一方でKDDIは自社のモバイル網を持ち、法人向けにサービスを提供している。Starlinkとの競合が懸念されるような衛星通信サービスも既に提供している。なぜKDDIはStarlinkの法人向け展開に進出するのか。狙いを探った。

2022年内の開始を見込む

 まずKDDIがStarlinkをどのように活用するのか整理しておこう。「バックホール利用」「Starlink Business」「スマートフォンと衛星の直接通信」の3つだ(図1)。バックホール利用はauの基地局と基幹通信網を結ぶバックホールを、Starlinkの衛星通信で結ぶ。これまで有線やマイクロ波の無線によるバックホール回線を敷設するのが難しかった場所にも基地局を配置でき、より通信エリアを広げられるようになる。

図1●Starlinkの活用形態は3種類
図1●Starlinkの活用形態は3種類
KDDIによるStarlinkの活用形態は、「バックホール利用」「Starlink Business」「スマートフォンと衛星の直接通信」の3種類。バックホール利用とStarlink Businessは2022年内の開始を見込む。図はKDDIの資料を基に作成。
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 Starlink Businessは法人や自治体向けの衛星ブロードバンドサービス。KDDIでは設置や導入からサポートする。

 スマホと衛星の直接通信は、地上アンテナを介さずにスマホをStarlinkの衛星と接続し、衛星ブロードバンドを使う仕組み。バックホール利用とStarlink Businessは2022年内の開始を見込むが、スマホと衛星の直接通信は法整備などの課題から提供開始時期は未定である。