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 KDDIとソフトバンクは、5G(第5世代移動通信システム)のエリア拡大のために、4G(第4世代移動通信システム)用の周波数帯を転用する動きを見せている。KDDIは2020年12月に転用を開始すると発表。ソフトバンクも今冬に提供を開始する計画だ。

 一方慎重な姿勢を見せるのがNTTドコモだ。4Gの電波を転用して5Gのエリアとすることを「優良誤認の可能性がある」と指摘。2020年10月の決算説明会で、転用したエリアと新しい電波を利用するエリアをエリアマップで分けて示すと明言。4G電波の転用は2021年度後半からになるとした。

 NTTドコモが優良誤認の危険性を指摘し、さらにメディアなどが4G電波の転用を「なんちゃって5G」と呼ぶのは、5Gなのに通信速度が4Gとほとんど変わらない可能性が高いからだ。

 一方で、4Gの電波を転用すれば投資コストを抑えて5Gのエリアを拡大できる。5Gの真のメリットを享受するには5Gのエリア拡大が何よりも重要とする声もある。

5Gが速いのは周波数が高いから

 まず4Gや5Gで利用する電波について見ていこう。4Gで使われている電波は、「プラチナバンド」と呼ばれる700M~900MHz帯と、主要バンドとして使われる1.5G~3.5GHz帯である。

 一方5Gには「サブ6」と呼ばれる3.7GHz帯と4.5GHz帯に加え、「ミリ波」と呼ばれる28GHz帯が割り当てられている(表1)。

表1●国内における5G向け周波数の割り当て
「サブ6」と「ミリ波」と呼ばれる帯域を利用している。
表1●国内における5G向け周波数の割り当て
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 5Gでサブ6とミリ波という2つの帯域が使われるのは、電波の性質に合わせて使い分けるためだ。

 電波は周波数が高いほど高速な通信が可能になる。半面、周波数が高くなるほど距離による減衰が大きくなる。遠くまで電波が飛ばないのだ。さらに直進性が高くなるので障害物によって邪魔されやすくなる(図1)。

図1●電波の性質
図1●電波の性質
周波数が高いほど伝達できる情報量が多くなる。半面、電波は遠くまで届きにくく、障害物の影響を受けやすくなる。
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 こうした電波の特性を考慮して、高速な通信を担うミリ波と、エリアをカバーするサブ6という役割分担がなされているわけだ。

 しかしサブ6といえど4Gの電波よりも高い周波数を使っている。だから4Gと同等のエリアまで拡大するには、4Gよりも多くの基地局が必要となる。携帯電話事業者にとって、投資コストは高い。4Gの設備や電波を転用できれば、エリア拡大のために過大な投資をしなくて済むというわけだ。