新型コロナウイルスの脅威は依然収まらない。人々の不安は増すばかりだ。そこにつけ込むネット詐欺やサイバー攻撃がとどまるところを知らない。時間がたつにつれて、多様化かつ巧妙化した手口が次々と出現している。
被害に遭わないためには手口を知ることが第一。新型コロナに便乗した詐欺や攻撃の最新状況をお伝えする。
マスクを高額で売る偽サイト
新型コロナ対策に欠かせないとされるマスクだが、相変わらず品薄の状態が続く。ドラッグストア前の長い行列も日常的な光景になりつつある。
2020年2月末には、マスクを無料送付するという怪しいSMS▼メッセージが出回り、国民生活センターなどが警告した。リンクをクリックすると運送系企業の偽サイトに誘導され、個人情報の入力を求められる。有用なアプリに見せかけたウイルスをインストールさせられる恐れもある。
そして3月上旬には、マスクを販売するという不審なメールも出現した(図1)。国民生活センターが公表した事例では、メールはスマートフォン宛てに送られてくるという。送信者名には、産業資材を扱う実在するメーカーの名前が書かれている。
価格は30枚で4万1800円。メール本文に埋め込まれた「ご購入はこちら」の画像をクリックすると、攻撃者が用意した偽サイトに誘導される。
送信者名に記載されたメーカーに国民生活センターが連絡したところ、このようなメールは送付していないと回答。加えて同社は、メールに記載されたマスクは取り扱っていないという。
また、このメーカーのドメイン名は社名を表す複数の英単語で構成されていて、単語の間には「-」がある。ところがメールに書かれていたURLのドメイン名には「-」がない。攻撃者は似たドメイン名を取得して偽メールの送信に使ったとみられる。
Short Message Serviceの略。