米国の非営利組織であるBetter Business Bureau(BBB)は2019年8月、AlexaやSiriといった音声アシスタントを悪用した詐欺が確認されたとして注意を呼びかけた▼(図1)。
音声アシスタントとは、音声で機器を操作する機能やサービス。スマートデバイスなどが備えている。音声アシスタントを使用して電話をかけると、詐欺師が用意した偽のサポートセンターなどにつながり、金銭をだまし取られる恐れがあるというのだ(図2)。
400ドルを請求された
BBBによれば、実際に被害に遭ったユーザーがいるという。被害者の1人は、スマートデバイスの音声アシスタントを使って大手航空会社のサポートセンターの電話番号を調べ、電話をかけた。自分が搭乗する予定の飛行機の座席を変更したかったためだ。
だが、電話がつながったのは詐欺師が用意した偽のサポートセンターだった。電話に出た詐欺師は、特別なプロモーションを実施しているとして400ドルを支払わせようとしたという。
BBBのリポートに詳細は書かれていないが、400ドルを支払えばお得なサービスを提供するなどと言ったと考えられる。
別の被害者は、自分が使用しているプリンターのサポートセンターに電話しようと音声アシスタントに命令したら、偽のサポートセンターにつながったという。
偽のサポートセンターは、被害者のプリンターやパソコンに問題があると虚偽の主張をして、有料サポート契約を結ばせようとする。いわゆる「サポート詐欺」である。「テクニカルサポート詐欺」や「テクサポ詐欺」などとも呼ばれる。
詐欺師の電話番号にかけてしまう原因は、音声アシスタントが検索サイトで電話番号を調べているためだ(図3)。
登録されていない電話番号に電話をかけるよう要求されると検索サイトに問い合わせて、上位に表示されたWebページを取得。その中に含まれる電話番号が正しい番号として電話をかける。
BBBが公開したリポートのURLは、https://www.bbb.org/article/news-releases/20523-scamalert-using-voice-search-usecaution-when-asking-for-autodial。