とある企業の情報システム部門。そこで元気一杯に働いているのが、ちょっと頼りない若手社員、通称「ネコSE」だ。セキュリティに関する豊富な知識を持つ「センパイ」に日々、鍛えられている。今回は「サービスが落ちる」という表現をきっかけにして、システムの可用性について考えてみた。
ネコSE:センパイ、さっき営業部のミサトさんからサービスが止まっているんじゃないかって連絡がありました。
センパイ:ああ、その件はもう対処したから大丈夫だよ。
ネコSE:この人数でやってるんですからしょうがないですよね。
センパイ:うん。忙しくて気付かないこともあるから、サービスが落ちていると気軽に教えてくれるのは助かるね。
ネコSE:落ちる?
センパイ:ははあ。ちょっと聞くけど、「パソコンを落としておいて」って指示されたらどうする?
ネコSE:ええと、変な指示ですね。そんなことしたらガッシャーンって床にぶつかって壊れちゃうじゃないですか。
センパイ:うーん、なるほど。じゃあ「サーバーが落ちている」と聞いたらどう思う?
ネコSE:何でこんなところに置いてあるんだろう。拾っていっていいのかなという感じでしょうか。
センパイ:ああ、コンピュータの世界で「落ちる」という言葉がどんなふうに使われるか知らないんだね。パソコンやサーバーの電源を切ることを「落とす」、動いていないことを「落ちている」と表現することがあるんだよ。
ネコSE:えー、知りませんでした。どうして落とすなんて言うんでしょうか?
センパイ:パソコンの電源を切ることを「シャットダウン」と言うよね。この場合のダウンは機能停止といったニュアンスだけど、ダウンには「落ちる」というイメージもある。それで日本語で「落ちる」と言うようになったんじゃないかな、たぶん。
ネコSE:そうか。そういえばダウンロードすることを「落とす」と言う人もいますね。
センパイ:それもダウンという言葉からの連想かもしれないね。ちなみに、英語のshutdownという単語には、工場の休業や操業停止という意味もあるよ。
ネコSE:センパイは国際的だなー。ところで、どうしてこんな話を始めたんですか?
センパイ:私にもいろいろ悩みがあってね。サービスが落ちているとどんな影響があるんだろうと考えていたんだ。
ネコSE:サービス品質が落ちているということは、顧客の満足度が下がっている状態ですよね。これを解決するには、重視する指標をKPI▼として定めて、KPIが上がるような施策を打つのが一般的だと思うんですけど。
センパイ:うーん。日本語は難しいな。「サービスが落ちている」と言ったのは、サービスが止まるって意味だったんだけど。
ネコSE:あ、さっき教えてもらった意味か。早とちりしました。