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 まずオートネゴシエーションが作られた経緯や背景について見ていこう。オートネゴシエーションの仕様は現在、イーサネット規格のIEEE 802.3の一部として規定されているが、もともとは半導体メーカーの米ナショナル セミコンダクターが1990年代初めに開発した「NWay」という技術がベースとなっている。

 オートネゴシエーションがIEEEで標準化されたきっかけは、100Mイーサネットの登場だ。IEEEが定めた最初のイーサネット規格の伝送速度は10Mビット/秒。これに100Mビット/秒の速度が加わり、2種類の速度が混在することとなった。

 さらに100Mイーサネットには、LANケーブルの品質(カテゴリー)や心線の使い方が異なる規格がいくつかある。それらをスイッチに設定するのは、ネットワーク管理者にとって大きな負担となる。オートネゴシエーションを使えばこうした設定は必要なく、ネットワーク管理者の負担は軽減される。

速度や複信方式を相手と交渉

 オートネゴシエーションの仕組みの詳細はPart2で解説するが、基本的な考え方を把握しておこう。

 オートネゴシエーションに対応した機器同士は、自分がサポートする速度を相手に伝える。両方が共通してサポートする速度のうち、最高速度を選択して通信を始める(図1-1)。

図1-1●ネットワーク機器同士が情報を交換して適切な速度を決める
図1-1●ネットワーク機器同士が情報を交換して適切な速度を決める
スイッチやLANアダプターなど、イーサネットを使うネットワーク機器には「オートネゴシエーション」という機能が備わっている。これを利用すれば、機器同士は自身がサポートする伝送速度を教え合い、共通するものから最高速度を選んで通信する。
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