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 5Gの最大の特徴は、4Gに比べて大幅に通信速度を高めたこと。Part1では、高速化を中心に5Gの無線アクセスネットワークの進化を取り上げる。

帯域幅を最大20倍に拡大

 5Gの通信速度はいくつかの工夫によって高められている。その中で最も貢献しているのは、1チャネル当たりの周波数帯域幅(チャネル帯域幅)を大きく広げたことだ。

 4Gのチャネル帯域幅は最大で20MHz。これに対し5Gの周波数帯域幅は、「Sub6帯」と呼ばれる6GHz以下の周波数帯では最大100MHz、ミリ波帯の28GHz帯では最大400MHzである。ミリ波帯で見ると、5Gは4Gに比べ20倍もの周波数帯域幅を使えることになる(表1-1図1-1)。

表1-1●4Gと5Gの無線仕様の比較
4Gと5Gの主な無線仕様を比較した。エリクソンや3GPPの資料に基づき本誌が作成。
表1-1●4Gと5Gの無線仕様の比較
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図1-1●高周波数帯による広帯域化で通信を高速に
図1-1●高周波数帯による広帯域化で通信を高速に
LTEではチャネル帯域幅は最大20MHzと限られていた。5Gでは、これまであまり利用されていなかった高い周波数帯を生かし、Sub6帯で最大100MHz、ミリ波帯で最大400MHzもの帯域幅を使えるようにした。
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 では、なぜ5Gではこのような広い帯域幅が利用できるのか。それは、これまで移動通信に不向きとされてきた高い周波数帯域を使うからだ。

 現在、日本国内でLTE向けに使われている周波数帯は、プラチナバンドと呼ばれる700MHz帯/800MHz帯/900MHz帯に加え、1.5GHz帯、1.7GHz帯、2.0GHz帯、3.5GHz帯。これに対し、国内で現在5G向けに割り当てられているのは、Sub6帯では3.7GHz帯と4.5GHz帯、ミリ波帯では28GHzである(詳細はPart2)。

複数のチャネルを束ねて高速化

 LTEでは最大の周波数帯域幅である20MHz幅を使っても、理論上の下り通信速度は約300Mビット/秒しか出せない。

 ところが、現在の4Gサービスでは、1Gビット/秒を超える通信速度が提供されている。これは主にLTEを高度化したLTE-Advancedの「キャリアアグリゲーション(CA)」によるものだ。CAは、複数のチャネルを束ねて周波数帯域幅を拡大し、通信速度を高める技術だ。

 5Gでも、CAによって高速化が可能だ。CAで束ねる対象となる1チャネルの周波数帯域幅は「コンポーネントキャリア(CC)」と呼ばれる。5Gでは、周波数帯やサブキャリア間隔に応じて、13種類のCCが定義されている(表1-2)。

表1-2●サブキャリア間隔とコンポーネントキャリアの対応
5Gにおける各サブキャリア間隔で可能なコンポーネントキャリア(CC)の周波数帯域幅を示した。CCは複数のチャネルを束ねて帯域を広げる際の周波数帯域幅の単位。総務省やエリクソンの資料に基づき本誌が作成。
表1-2●サブキャリア間隔とコンポーネントキャリアの対応
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