ここまで認証をパスワードレスにする仕組みを説明してきた。しかしIDPを利用するだけではパスワードレスにはならない。社内で利用する各種サービスにログインする際の認証が別途必要となると、そこでまたパスワードが必要になってしまうからだ。
そこで求められるのがID連携に基づくSSOである(図4-1)。社内外のサービスが認証をIDPに一任。IDPが一度利用者をパスワードレスで認証してしまえば、他のサービスを利用する際もパスワードの入力は不要になる。多くのIDPはSSOの機能も備えている。
主流はSAMLを利用した連携
ID連携にはいくつかの方法があるが、その中でも代表的なのがSAML▼を使ったID連携だ。
SAMLはXML▼で記述された認証情報をやりとりしてID連携を実現する仕組みだ(図4-2)。SAMLは異なるインターネットドメイン間で認証や属性に関する情報を安全に交換するためのプロトコルとして開発された。そのためSSOは用途の1つである。
IDPの多くはSAMLに対応しており、連携しやすいよう工夫されている。例えばAADでSAMLを利用したSSOを設定する場合を見ると、まず連携するサービスをメニューから選択する(図4-3)。そうすると手順を次々と表示して設定項目を示してくれる。一通りこの作業が終われば、設定をまとめて表示できるようになる。
ただし当然ではあるが、連携相手となるサービスにも設定が必要となる。
SAMLと同様に「OpenID Connect」というプロトコルも標準的に使われている。もともとFacebookなどの交流サイト(SNS▼)の認証を利用して、ECサイトなどのWebサービスにログインできるようにするプロトコルとして使われ始めた。OpenID ConnectもほぼSAMLと同じ手順でSSOを実現する。