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 企業システムの安定稼働には「冗長化」が不可欠だ。サーバーやネットワークを多重化して、システム全体の可用性を高める。平常時には無駄(冗長)になることをいとわず、同じ機能や役割を担う機器や通信回線を予備として複数用意する。使用している機器や回線に何らかの障害が発生した際、予備機や予備回線を使ってサービスを継続する。

 冗長化していないと、障害が起きた原因を解消しない限りシステムを利用できなくなる。例えばLANスイッチが故障したら、そのLANスイッチを修理するか、代替機を手配して入手するまで通信が不可能になる。LANスイッチを複数用意し、通信経路を冗長化していれば、障害発生時に予備の経路に切り替えて通信を継続できる(図1-1)。

図1-1●「無駄」を用意して障害に備える
図1-1●「無駄」を用意して障害に備える
サーバーやネットワークを多重化して障害に備えることを「冗長化」と呼ぶ。平常時には無駄になることをいとわずに、同じ機能や役割を担う機器や通信回線を複数用意するのが基本だ。
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 サーバーやネットワーク機器などの精密機器は、経年劣化によっていつかは故障する。LANケーブルも経年劣化や強い張力、折り曲げなどにより、断線することがある。こうした万が一に備えて、冗長化に取り組む必要がある。

冗長化でSPOFを解消

 サーバーやネットワークを冗長化する際に注目すべきなのが「単一障害点(SPOF)」である。障害が発生するとシステム全体が停止してしまう場所のことだ(図1-2)。逆に言えば、SPOFを極力なくすことが障害に強いシステム作りの基本となる。

図1-2●単一障害点(SPOF)をなくして可用性を高める
図1-2●単一障害点(SPOF)をなくして可用性を高める
障害が発生するとシステム全体が停止してしまう場所を単一障害点(SPOF)と呼ぶ。冗長化によりSPOFをなくし、サーバーやネットワークの可用性を高める。
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 とはいえサーバーやネットワーク機器、通信回線、電源などほとんどの要素がSPOFになり得る。例えば、サーバーを複数台用意して故障時に切り替える仕組みを導入したとしても、サーバーをつなぐLANスイッチが冗長化されていなければ、そこがSPOFになる。

 完全にSPOFをなくすにはほぼすべての要素を冗長化する必要があるが、予備の機器や通信回線を用意し、維持するには相応のコストがかかる。障害に強いネットワークを実現するには、コストと信頼性のバランスが重要になる。どのSPOFがよりクリティカルなのかを見極めなければならない。