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 STPは仕組みが複雑で設定ミスによるトラブルが起きやすい。また障害時の通信経路の切り替えにも時間がかかる。こうした理由から、新規にネットワークを構築する場合にはあまり使われない。代わりにLANを冗長化する方法として広く使われるようになったのが、「リングプロトコル」や「リンクアグリゲーション」「スタック」といった技術だ。

リング構成のLANに特化

 リングプロトコルは、リング構成のLANに特化した冗長化の技術である。STPよりも設定が簡単で、障害時の通信経路の切り替えが早い

 リングプロトコルでは、LANスイッチのうちの1台を「マスター」という役割に指定して、リング状につないだポートの一方を「プライマリーポート」に設定し、そこから定期的にHelloメッセージを送信する(図3-1)。そして、もう一方を「セカンダリーポート」に設定し、ループ構成にならないようにブロック状態にしておく。

図3-1●リングプロトコルの仕組み
図3-1●リングプロトコルの仕組み
リンクが途切れると、マスタースイッチのセカンダリーポートを使えるようにして迂回路を有効にする。
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 プライマリーポートが送信したHelloメッセージは、リングを構成する各スイッチによって転送され、最終的にセカンダリーポートに届く。こうして、リングを巡回するHelloメッセージがマスタースイッチに戻ってくるかどうかで正常稼働を確認する。

 リング内のあるリンクが途切れた場合は、そのリンクにつながるLANスイッチがマスタースイッチに途切れたことを通知する。マスタースイッチはこの通知を受け取ると、セカンダリーポートを開く。そしてリングにあるLANスイッチに、MACアドレステーブルの更新を指示する。こうして新しい経路情報が学習され、迂回路が有効になる。

 リングプロトコルはIETFのRFC 3619で標準化された「EAPS」があるが、ベンダー独自のリングプロトコルもある。

複数の回線を束ねて使う

 LANを冗長化する方法として、リンクアグリゲーションもよく使われる。LANスイッチ間を複数のLANケーブルでつなぎ、論理的に1本の回線として使う(図3-2)。IEEE 802.3adとして標準化されている。

図3-2●リンクアグリゲーションの仕組み
図3-2●リンクアグリゲーションの仕組み
LANスイッチ間を複数のLANケーブルでつなぎ、論理的に1本の回線として使う。
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 リンクアグリゲーションの本来の目的は、帯域を拡張することである。例えば、1Gビット/秒の回線を2本束ねれば2Gビット/秒の帯域幅で通信できる。

 リンクアグリゲーションでは、LANスイッチ同士がLACPという制御フレームをやりとりする。このフレームにより、複数のLANケーブルが同一のスイッチにつながってリンクが張られていることを確認し、物理的な複数のリンクを論理的な1本のリンクとして扱うようにする。2台のLANスイッチ間で最大8本の物理リンクを1つの論理リンクに束ねられる。

 LANケーブルの切断などでいずれかのリンクが途切れると、残りのリンクで通信を継続する。