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 前述のようにメールには盗聴されるリスクがある。それにもかかわらず使い続けられている。メールが登場した半世紀以上前ならいざ知らず、現在では様々な技術やサービスが登場している。メールの代替となる技術やサービスは存在しないのだろうか。

通信経路では確実に暗号化

 メールの代替としては、近年存在感を増しているビジネスチャットが候補として挙げられるだろう。ビジネスチャットでは、クライアントに専用ソフト(デスクトップクライアントソフト)やWebブラウザーを使用する。これらのクライアントとサービスを提供するサーバーの間は、Webの暗号化の仕組みであるHTTPSを使っている。このため盗聴される危険性が低い。

 Webメールでもクライアントとサーバー間はHTTPSで接続するため盗聴されにくい。だが異なる組織が運用するメールサーバー間の通信は暗号化される保証がない。

 一方ビジネスチャットでは、通信がサービス事業者で完結するので、クライアントとサーバー間さえ暗号化されていれば安全性が担保される。

 一般的にビジネスチャットでは、サーバーとクライアント間でメッセージを暗号化し、サーバーへの到達時に復号する。そして再度暗号化して保存する(図6)。

図6●ビジネスチャットなら通信経路は必ず暗号化される
図6●ビジネスチャットなら通信経路は必ず暗号化される
ビジネスチャットを利用すれば、メッセージはHTTPSにより暗号化した経路でやりとりされる。このため通信経路でのセキュリティーリスクを軽減できる。
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 だがビジネスチャットには欠点もある。同じビジネスチャットサービスを利用する相手としかメッセージをやりとりできない点だ。このため社外の人とやりとりしたい場合には、まず相手が利用しているサービスを尋ねる必要がある。異なるサービスを使っている場合には、どちらかが相手のサービスを使う必要があるが、企業のセキュリティーポリシーなどにより許可されないことがある。

 また同じサービスを利用している企業同士でも、どちらかが社外とのやりとりを制限している場合には利用できない(図7)。

図7●同じサービスを使う相手としかやりとりできない
図7●同じサービスを使う相手としかやりとりできない
通信経路のセキュリティーに懸念のないビジネスチャットだが、同じサービスを使う相手とでなければ送受信できない。
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 一方メールは仕様がオープンで標準化されているために、異なる製品やサービス間の相互運用性が担保されている。異なるベンダーのメールサーバー同士でも、異なるクラウドメールサービス同士でも、相手のメールアドレスさえ分かればメッセージを届けられる。